見えるでしょ、アタシが。

 

「…あれ」
ドアを開いて目に入ったコードの予想外の姿にワシリーは小首を傾げた。
覗いた向こうのコードの部屋。机に向かうコードの背中から、ちらちらと羽ペンが動いているのが分かる。
風呂か、もしくは既にあがって夜着など纏って読書でもしているかと思えば未だ教授の服のままで何か作業をしている様子だった。

「キツネの襟巻きと袖のびらびらはないねんけど…」

「さっきから何をブツブツ言っている?」
「あーいえ、こっちの話です〜」
思った事が口に出てしまっていたらしい。怪訝そうな顔で振り返るコードに向かって軽く片手を左右に振り机の方へと近づいていく。

「コードは〜……んごぁっ!」

みしっ。と鈍い音がして抱きすくめられる前にワシリーの眉間に分厚い本の背表紙がコードの手によってめり込まされた。
「っっっっっ……たぁぁぁぁぁっ!!まだ何もしとらんのにそれはないんとちゃいますぅ!?」
「まだ何もしていなくともこれから何かするつもりだったのだろう」
ワシリーを真っ直ぐ見据え、鋭い視線で核心を突くコードの言葉に眉間にめり込んだ本を退けつつワシリーの目が泳ぐ。
「まぁそうですけど〜…」
「今は研究中だ。後にしろ」
「後って、どれくらい待てばいんです?」
机に向き直り作業に戻ろうとしたコードだったが、懲りずに横から覗き込んでくるワシリーによって
ものの2秒で中断されてしまい大げさにため息をつく。
「少なくとも2時間だ」
「…ワイそんなに待てへん」
襟巻で普段は見えない首筋、鎖骨にかけてを指先で撫ぜるとコードは小さく身を跳ねさせることでいとも簡単にそれに応えてしまう。
「…こらっ…研究中だと言ってるのが聞こえんのか…」
「『終わった』後でもええやないですか」
「終わったら……だと?空が白むまで、意識が途切れるまで抱かれ続ける
 私のどこにその続きとやらをする体力があるというのだ?」
「んじゃ、コードはんが体力残るようにその辺うまい具合に加減しますからぁ♪」
「嘘の下手な奴め。力いっぱい顔に出てるぞ、押し倒してしまえばこっちのものだとな」
「なぁ…しよ…?」
「…お前……はっ…」
強硬手段に出るつもりなのか首筋に顔を埋めてくるワシリーを片手で押しのけつつ、手前の引き出しを開けて何かを取り出した。

『スパイダーウェブ!!』

手にした蜘蛛の糸が大きく床に広がりワシリーの動きを拘束した。
「どわッ!」
動きを封じられて流石に慌てた様子のワシリーを傍観しながらコードは椅子から立ち上がる。
「残念だが欲に流され中断できるような研究ではないのでな。それでも邪魔をするというならば相当の対価を頂こうか」
「えーと……ちなみにどんな対価ですか…?」
拘束されて一歩も動けないワシリーに今出来ることと言えば、さり気なく乱された襟首付近を
片手で直すコードの仕草を見つめながらそんなことを問うくらいだった。
「そうだな、ダブルキャスティング。お前なら知っていよう?」
「一定確立でボルト系魔法が連続して出せるもの…でしたっけ」
「そう。一定確立だ。だが今日は不思議とすぐに出る気がしてならない…」
「それってどういう…」
言いかけたワシリーの言葉を遮りコードがさらに続ける。
「無属性の人間でも連続で喰らうとかなり効くのは何度もこれを食らったお前の身体が一番よく
 分かってる筈だ。忘れてしまったのなら今すぐにでも思い出させてやろうか?ワシリー」
「………………………へ?」
妖艶に微笑むその表情にみとれかけながらもワシリーは自分の状況を理解はじめていた。


ワシリーなりの解釈:
『これ以上研究の邪魔をするのであればスパイダーウェブ拘束状態でダブルキャスティング
 付きファイアーボルト食らわせるぞこのどエローグめ』



『ファイアーボル…』

「うわあぁぁぁぁ待ちます待ちますッ!邪魔してすみませんすみませんすみませんでしたぁぁぁぁッッ!!!」

『キャストキャンセル』

ファイアーボルトの詠唱を始めたコードだったが、ものすごい勢いで謝るワシリーに
呆れたような表情で中断スキルを素早く展開させその詠唱を止める。

「ワシリー。私はお前を拒んでなどいない、ただ『待て』と言っているのだ。
 1週間や1ヵ月などと言っている訳ではないのだから」

「……………はぁい……」

机の上にさも見せ付ける様に死神の名簿を置かれてしまっては成す術なしと悟ったのだろう。
明らかに不満そうではあるが返事が戻ってきた。
これだけ釘をさしておけば流石に諦めて部屋に戻るか、もしくはベッドあたりで寝そべって待っているだろうと
思われたワシリーだったが、スパイダーウェブによる拘束が解けたあと、空いているもう一つの椅子をコードが
座っていた椅子の近くまで引き寄せて背もたれに両腕を置き、その上に顎を乗せる。
コードからの言葉はもうなかったが、ただ無言で死神の名簿を指ではじいて見せた。
「お預けくらってん、側で見るくらいはええでしょ?」
待っている間の時間を恋人の横顔を愛でることでつぶそうということらしい。
「…好きにしろ」
前に垂れた髪の毛を軽く払いコードは視線を机に戻した。
それからというもの横にワシリーなど視界に入っていないかの如くに書物に目を通し羽ペンを走らせている。

時折ずれたミニグラスを直す仕草。
難解な部分が出てきたのか僅かに細められるアメジストの瞳。

「…………」
ベッドで見せる色香などどこにも無い筈なのにワシリーはどこか情欲めいた
視線を無意識の内にコードに投げかけて居たことに気づく。

(こんなんで欲情なんかして、ワイってやっぱ末期やなぁ…)

それ故にまるで自分が最初から存在していません状態の扱いでこちらに少しの視線も
貰えないのがワシリーにとって段々不満に思えてきた。

「てか、コードはんさっきから何してはるんです?」
興味もないのに思わずそんなことを口に出していた。
「聞きたいのか?興味があるなら説明くらいならしてやるが」
「ええです」
やはりこちらを見もしないで答えるコードに聞く内容を間違えたと思いつつ速攻ワシリーはそれを辞退する。
積み上げられた本の表紙で魔法書の類であることはワシリーにも何となく分かったが所詮それだけだった。
それ以上の説明をされてもそもそも理解などできないだろう。

「視線、気になります?」



《なぁ、見て。》



「平気だ。鬱陶しくはあるがな」
淡々とした会話の間でも羽ペンを動かす速度は全く緩まない。
真っ白な紙がワシリーからすれば訳のわからない文字列でびっしりつ埋め尽くし、
相変わらず自分に目もくれないコードに視線を投げ続ける。
「じゃあこんな風に話し掛けられたりとかしたら?邪魔じゃありまへんか?」
「正直邪魔ではあるがな。下手にまとわりつかれるよりはよっぽどマシだな」



《ワイのこと、見て。》



「……ワイがあんたを今日どういう風に泣かせたろか考えてるって言っても?」

滑らか動いていた羽ペンが初めて動きを止めた。
「それでも、全然気にならへん?」
「…………ならん馬鹿者」
少々ムキになった口調で答えるコードに対してワシリーの言葉は続く。
「昨日は後ろからやったから今日は前からガンガン突いたろかとか、それともあんたが欲しがって
 泣き叫ぶまで指だけであそこぐちゅぐちゅずっーと弄り続けてやろかとか」
止まったきりの羽ペンは動かない。書面に視線を落とすコードの顔は心なしか紅潮している。
「そんなエロいことばっか考えてるワイがじろじろ見てて話しかけてても、全っ然。本っ当に気にならへんの?」
「……ならないと…言ってる……」

「嘘や」

「!?」
やけに近くに聞こえてきた声に書面から目を離すと、椅子に座っていた筈のワシリーに背後から抱きしめられていた。
「…お前はッ…!」
項に甘く噛み付き素早く服をはだけさせるワシリーの指に、コードは握っていた羽ペンを
書きかけの書面の上にインクを散らして倒してしまう。
「待てと言ってるのが聞こえっ…ぁ…!」
手を大きく撫で回して胸を露にさせつつ乳首を軽く引っ掻かれ、コードはそれを止めさせようと
机の隅に置いていた死神の名簿に手を伸ばすが当のワシリーは行為を中断するつもりなど全くないらしい。
名簿を手に取る前にさっさとコードを抱き上げ運んでいき、ベッドに寝かせたその上にさも当たり前というかの如くにワシリーがのしかかる。
「ちゃんと待っとったじゃないですか…10分くらい…やったかな?」
「最終的にこの始末ではまるで意味がないわ!」
「そうさせたんはあんたやろ…コード?」
「なっ……」

「やっとワイのこと見てくれた」

ワシリーを見上げるコードの頬に嬉しそうな顔で手を触れる。
「我慢できんかった…すぐ近くにワイいんのに、その目がワイのこと向いてないのが気に食わんかったんや」
「研究に嫉妬か…そういう所はとことん餓鬼だなお前は」
認めはするが面と向かって言われるとやはり面白くはないのだろう。少しだけ拗ねた様子で目を細める。
「ど〜せワイは本にまで嫉妬する餓鬼ですもん…ここは、ちゃーんとオトナやけど」
コードの上の服はワシリーによって完全に肌蹴けさせられていたが下の方は今だ身につけたままだ。
その状態で足を開かされ今だ一糸乱れぬ状態のワシリーが間に割って入り、服越しから
自らの雄を同様にコードの服の上から秘部に押し付けてきた。
「ひっぁ…」
布越しから伝わってくる微かに伝わる熱にコードの腰が小さく揺れる。
「服の上からでもあんたのソコ、ひくひくしてんの分かんで…感じた?」
「っ…違う…!」
「あれ、ワイの勘違いやったか」
解放されるかと思ったがコードの足はそのままワシリーの両腕によって抱え上げられる。
「…ぁ…あぁぁッ…!」
「んじゃ、分かるまで続けよか」

足を抱えられたままぐいぐいと布越しに雄でコードの秘部から前の方にかけてを圧迫し、ゆっくりと上下に動き始めた。
自分の格好も動かされ方も、いつもワシリーを受け入れている時と似すぎていてコードは服を身につけて
ままこのようなことをされているのが事が逆に恥ずかしくなってきた。
「お前…何をして…ッ」
「服の上からコードのあそこ、ワイのでぐりぐりしてん」
「いっ…いちいち説明しなくて…い…ぃ…あッ…!」
ぎゅっと圧迫する力が強くなる。間に挟まれた互いの服がコードにとってはもどかしくて仕方がなかった。
「なぁコード…これ感じてる?」
「うるさ…離せッ…ぁぁあッ」
「熱く感じんの気のせいやないと思うんやけど…」
「違う…離せ…もう…」
コードは布越しからでも感じていた。それに気づかれたくなくて、直接触れられて感じたことにしたくて
なんとかこの行為を止めさせようとワシリーの腕を掴む。
「いっそイクまでこうしてよか」
その腕をそっと掴んで離させると、秘部当たりを狙って腰を揺らして押し付けズボン越しにコードの雄に触れる。
「…駄目…だ…それ…だめ…ワシ…リ…あぁッ…いっ…いやあぁ!!!」
掌で撫で回しその変化を確かめているワシリーに誤魔化す術などコードにはない。
手は離さないまま腰を引いてコードの顔を見下ろすワシリーから横を向くことでその視線を逸らした。
「勃ってんで、服の上からでも感じたんやろ」
「…わしり…やめ…いやぁ!」
「ええやん、湿って来てんで。こっちも」
脱がそうともせずにその上から雄を揉みつつ片手でやはりズボン越しから秘部当たりに指を押し付ける。
「あっ…ひっあぁぁッ!」
圧迫する力を徐々に強めながら押し付けた指をぐりぐりと回してやるとコードの首が反り白い喉が無防備に晒される。
「あぁッあッいやァァァ!!」
目の前の喉に齧り付き指はさらに圧迫する力を強めてきた。
布地からワシリーの指の感触は伝わってくるが自らの服に阻まれただ入り口を苛むだけで望む刺激は一向に与えられない。
絶対的ではないじれったい快感にひどく興奮していたのもまた事実で、その証拠に
コードのモノはワシリーの言うとおり既に勃起しており、窮屈な服からの解放を強請って
その熱をぐにぐにと揉みしだいているワシリーの指へ訴え続けていた。

「ワシリー…おねが…脱がせっ…あぁぁッいッやあぁぁッ!」
いっそ自分で脱いで触れて欲しい部分を晒し、ワシリーの手を掴んでその場所に擦り付けたい衝動を辛うじて押さえ込む。
こちらの都合などお構いなしでベッドに連れ込んだワシリーをこれ以上喜ばせるような真似だけはしたくなかった。
「ええやん『最初』はこのままイき、コード」
「ひっ…あ…あぁぁッッ…」

ワシリーが泣きそうな顔をしているコードの唇に一度口付けると軽く噛み付いていた喉から腹部にかけてつぅっと舌を滑らせる。
「あぁっあッ」
途中で行き着いた臍へ戯れにちろりと舌を差し込んでさらに移動したその先は、
布越しからの愛撫が続いているコードの熱を帯びた中心だった。
「いや…ぁ…いやぁぁぁあッッ!」
嫌と言い続けるコードに構わず服の上から唇でコードのモノを覆う。
「ん…」
指で揉みながら先端であろう場所を探り当てると口で覆ったまま息を吐いて熱い空気を送り込み、時折歯を立てては甘く噛む。
その間もぐりぐりと指を回しながら秘部を強く圧迫し続けることも忘れない。
「いやいやぁッこんなの…あぁぁあいやぁぁっっ!」
指が食い込むくらい強くコードのモノを揉み先端部分に舌を押し当て、服を突き破るのでは
ないかという強さで指をコードの秘部へと押し付ける。
「あぁ…焦れてるコード見るのは可愛ぇけど、確かに服ちょっと邪魔やなぁ…ここに
 指突っ込んで無茶苦茶に掻きまわして。しゃぶりつきたいわ…」
ワシリーが言った言葉の通りにされる自分を思い描いたと同時、コードの身体は急激に熱くなった。
「ひっあッいやっあッアァァァァァァァッッ!!!!」

びくっびくっと何度か大きく震え、それからコードは静かになった。
「…出したん?」
「……………!!」
やっと下半身から指と口を離し、顔を覗き込んで来るワシリーから顔を背けたまま涙ぐんでコードは黙っている。
「服着たまま、直接触らんでイったん?コード…あんたのやらしさ本当底なしやな」
「いや…ぁ……」
「コード、ワイの方見て」
「やぁ…んっ…」
「コード」
顔をワシリーの方へと無理矢理向けさせられ口付けられる。
ワシリーのキスを拒みこそしなかったが、コードの頭の中は直接触れてもらえぬままに
達してしまったことに対する羞恥でいっぱいだった。
「あ、そや…ちょっと待ってなコード」
唇を離し、一度啄ばむようなキスをしたあと、何かを思い出したようにワシリーが
呟きベッドから出ずに机の方へと上半身だけを乗り出す。
「…………」
まだ先程の辱めを引き摺っているのか目の前にある以前よりもはるかに
精悍になった胸や腹部をコードはただ黙って見つめていた。
「あ〜これだとまずいから…これで拭けばええか」
相変わらず半身だけをベッドの外に出したまま何かブツブツと独り言を呟くワシリーに、
コードはあらぬ予感を感じずには居られなくなった。
「ワシ…リー…?」
「ん?」
ついに堪えかね名を呼んだ時、ワシリーが乗り出した半身をベッドに戻してコードを見つめる
その顔は、明らかに何か良からぬ事を考えている表情。
「一体何をして…」
その右手に握られているものを見てコードは絶句し硬直する。
ワシリーがその手に握っていたのは、先ほどコードが使っていた羽ペンだったからだ。

「ワシリー…そんなものを今…何に使うつもりだ…」
「そやな…コードが考えてるよなことやないの?」
そう言って握ったペンの羽部分でコードの胸元をさらりと撫でる。
「あッ…!」
「あ〜やっぱりえぇ反応〜」
簡単にワシリーの思うとおりの反応をしてしまったのが悔しくて身を固くするがさらにワシリーが今度は羽の先で乳首に触れる。
「ひ…あぁぁ…!」
「悦さそうやな。そんなん羽、ええの?」
羽部分でコードの肌を嬲りつつ、身につけたままのコードのズボンを片手で器用に緩めて脱がしてしまうとベッドの下にずり落とす。
「ひゃ…ああッう…あぅぅ…!」
その動きはコードに否定も抵抗する機会すらも与えない。羽がコードの胸から下腹部まで
 全体を撫ぜつつ滑り、そしてそれは、曝け出された達したばかりのコードのモノをさわさわと擽りはじめた。
「あぁぁッいやぁいやぁぁッッ!」
その部分を羽を使って上下に何度もしつこく滑らせ、時折秘部にも移動させて入り口付近を
撫ぜるとコードのモノは反応し仕舞いには立ち上がりさえしてしまった。
「あっあんッワシ…リ…ィ…あぁッ…」
直接コードに触れるそこにはワシリーの体温はない。それでも軽く撫でる程度の
焦れた快感に堪えかねコードは自分から腰を揺らしてしまっていた。
「羽じゃ足りへんみたいやな。もっと欲しい?」
「あ…おねが…欲しいっ…ワシリー…」
先程の布越しの愛撫と今は羽での嬲り。早くワシリーに直接触れて欲しくてコードは堪えていた強請りの言葉を小さくだが発する。
「んじゃ、もっとやるなコード」

羽がコード自身から離れてほっと息をつくも、その後に与えられたものはコードが望んでいるものなどではなかった。

「!!!……いや…やめてワシリー…いや…!」
ワシリーが握っている羽ペンをくるりと持ち替え、ペン先の部分を立ち上がったコードのモノに近づける。
「い…いやぁぁぁぁぁぁッッ!!!」
逃れようとしたコードの足を間に素早く入って開かせたままで固定し、ペン先で先端部分をそっとつついた。
「ひいぃッ…いっあぁぁぁぁッッ!!!」

敏感な先端部分に当てられた無機質で冷たい感触は嫌になるくらいはっきりとコードに今おかれている事実を突きつける。
恋人によってさっきまで自分が使っていた羽ペンを性行為の道具として使われ、
 自らの性器をそれで嬲られているという濫りがましい事実を。

「動かんといてコード。あんま暴れると傷つくで」
「だったらやめ…いっいやいやいやぁぁッ!」
ワシリーの指が少し動いただけでもその刺激はあまりにも強く、首を振りながら必死にやめて欲しいと懇願する。
「もっと欲しいんやろ?だから大人しぃして」
「ひぃっやめッいやぁぁぁッわしり…いや…いやァァァァァッッ!!!」
そんな懇願も空しくコードの見ている前でペン先部分が先端へ侵入した。
「あぁぁぁッいやぁぁッあぁぁぁッアァァァァ!」
入れられたのはほんの僅かでしかなかったがコードにとっては何センチも奥に入れられたような衝撃に近く、
少しでも動けばさらに自らを苛むようになりそうで逃げることはもちろん、動くことすら出来ずにされるがままになっていた。
「痛がったらやめよ思たけど平気そうやな…ってか案外ええん?」
「違う違うッいやぁワシリーやめて…いやぁぁぁ!」
「萎えるどころかどんどん硬くなってんで?」
「ひぁぁぁあああああッッ!!!」
先端部分からペン先を離して脇の部分を痛みを与えないくらいの圧力でペンの先端を
滑らせるとコードの先端から先走りが垂れそのペン先を染める。
「ほら、やっぱええんやないか」
「ああぁぁぁんッ」
羽部分で先走りを拭うとそこでコードが逃げようと腰を引こうとした。
「ほら、逃げたらあかんて」
それに気づいたワシリーがまたペン先部分をコードのモノの先端に先程よりも強くあてがう。
「ひぁぁぁあぁぁぁぁ!」
最初に与えられた時よりも強い刺激にコードは動くのをやめたものの、先端を嬲られる刺激に泳ぐ腰は止まらない。
「別にええの隠すことないやろ?あんたが淫らなんはよーく分かってん」
「ちが…これじゃいやぁ…わしり……こんなの…あぁいやぁぁぁ!!」

「コードが欲しぃんは…これ?」
ペン先を少しだけ離し、顔を近づけてたっぷりとペン先で嬲った先端をぺろりとひと舐めする。

「ひあ…アァァァァァァァッッ!!!!」

「んっ…」
舌が触れたと同時にコードが精を放ちワシリーがそのまま先端を咥えてそれを吸い上げる。
「あ…あァァ…ア…!」
舌の温かい感触が嬉しくて無意識のうちにコードは腰を浮かしてワシリーに自らのモノを押し付けていた。
「舐めた途端勢い良く出して相当ギリギリやったん?」
精を飲み下して口を離し、ぺろぺろとイったばかりのコードのモノを舐めるワシリーを目を潤ませながら睨みつける。
「お前はどうして…どうしていつも私をそうやって玩具に…!」

「コード可愛いんやもん」

堂々と言い返すその口調には悪びれた様子もない。
それでも詫びのつもりなのだろう。握っていた羽ペンをベッドに転がし、優しいキスを落とす。
「んぅっ」
コードが小さく呻いてワシリーの首に腕を回してすがりつくとワシリーもまた両腕でコードの華奢な背中を抱き込んだ。
「んっ…んふ…」
口付けながらコードが脇に落ちた羽ペンを片手で拾いすぐには取れないような場所、ベッドの外へと投げ捨てる。
コードの行動はワシリーにも分かったがそれを拾いに行くようなことはせず、顔を斜めに傾けてさらに深くコードの唇を味わった。
「んっんっん…ゥ…ん」
ワシリーの興味が捨てられた羽ペンに再び戻らないよう、舌を絡めキスで繋ぎ止めようとする目の前の
恋人以上に執着するほどのものではなかったからだ。
「んっんふ…ぁ…ん…」
唇を離した後も差し出すコードの舌を舐めて応えつつその肌に指を這わせた。
「あふぅッう…んっ…あ…」
コードの舌を吸い、軽く噛んでやりながらやっと直接秘部を中指でつつく。
「ひぃっあッあぁぁッんァァァッ」
何度かつついたあとにゆっくりと圧迫して挿入されていくワシリーの指を貧欲に呑み込み受け入れていく。
今までどんなに望んでも与えられなかった直接感じる体温がたまらなく心地よくて、コードは自分から腰を揺すらせてしまっていた。
「指1本でこないに乱れて…欲しくて欲しくて焦れとったん?」
「だ…だめぇ…1本じゃ…もっと…」
一度望むものを得てしまうと欲はどこまでも深くなり、少しでも奥まで届くようにと腰を押し付けてしまう。
「せっかちやでコード。もっとゆっくり味わって」
増やさないまま指1本だけで抜き差しを続けるゆっくりとしたその動作は、コードにとっては
焦らす行為でしかなく、首を振りさらに腰を大胆に振って強請り続けた。
「いやぁ…!…わしり…もっと…もっとぉ…ぁ…ひあぁぁぁッッ!!!」
指を2本増やして一気に3本の指を呑み込まされたコードの秘部は痛みを感じる
どころか歓喜に震え余すことなくそれを味わおうと締め付ける。
「締めすぎやコード…痛いん?」
「ああぁッいぃッいいのにッあぁぁぁ…!!!」

指を増やされた。すごく気持ちいいのに満たされない。
快楽の中にいながらも拭いきれない焦燥感に腰を蠢かせコードが強請り続ける。
「わしり…ぃ…の…いれて…もぅ…あぁッ…い…れてぇ…」
「ほとんど慣らしてへんやん。きちんと慣らしとかんとあんたがつらいで?」
そうコードを窘めるワシリーの声は自分を求めるコードのあられもない姿に煽られ心なしか上ずっている。
「もぉ指じゃだめ…ぇ…わし…り…ぃ…お…願い…お前の…をっ…入れて…欲しぃのっ…」

「………………うっわぁ…ものすっごクルわぁそれ」

「あうぅぅッ!」
高くて甘い声に誘われるままワシリーの指は引き抜かれた。
体重をかけないようにワシリーが自分の身を重ねると、コードは背中に軽く手を回してカチャカチャと
ベルトを外す金属音を聞きながら恋人に愛してもらう時を待つ。

しかし、その少しの時間が僅かながらコードに理性を呼び戻す機会を与えてしまった。

「………?」
ワシリーの肩越しから見える視界がやけに鮮明なのにコードは違和感を覚える。
この部屋でも何度も行為は重ねてきたがやけに今日は明るすぎるのだ。
半ば強引にベッドに連れ込まれたため机を煌々と照らす光は今もそのままベッドにまで及んでいる。
いつも相手の姿がかろうじて分かる程度の薄明かりの中での行為だったため、今は自分の裸体はもちろん、ワシリーの姿もはっきりと見える。

コードは背中に回していた手を肩に移動させて押しのけるように腕を突っ張らせた。
「コード?」
どこか拒絶じみたその行動にワシリーが気づき背中を抱く腕の力を少しだけ緩めてコードを見る。
「あ…待って…消せッ……明かり…を…」
「明かり…?」
ワシリーはあぁ、そうやったなと。思い出したようにコードを離さぬまま机の明かりをちらりと見る。

「消して…明かりは…」
「嫌や」

視線をコードに戻してあっさりその望みを跳ね除けた。
「……!!」
「それに、明かり消しても見えへんのはコードだけやし?」
「……なにっ…?」
ローグやアサシンが夜目が効くことを、薄暗くした程度ではその痴態を
ワシリーに隠しきれていないことをコードはまだ知らない。
「おっと…いいえ、な〜んでもありまへん」
「…待って…いいから…明かり…を…」
何かを隠しているような様子に違和感を覚えるも、前を緩めて取り出されたワシリーの雄が、
考える余裕がなくなるくらい自分を苛む前になんとかこの明かりをどうにかしようと
机の方へ伸ばしたコードの手は、すぐにワシリーの手によって引き戻されてしまう。
「ワシリー…!」
「待たへんし消さへんよ。さっきから嫌やって言うとるやろ?そんなん明るいのが恥ずかしいなら今日は
 前からしよか。コードの感じてるやらしい顔いっぱい見れるし」
「うぅ…いやぁ…見るな…見るなっ…いッ…いやぁぁぁッッ!」
自分の秘部にワシリーの雄が押し当てられる様を目の当たりにし、こんな卑猥な姿をワシリーに
見られていると思うとコードは恥ずかしくて仕方がない。
「可愛く泣いてワイを欲しい欲しい言うたのは…あんたやろ?コード」
「あッワシリぃっいッいやぁッいや……あ…あぁぁぁぁぁーーーッッ!!!」
身体を重ねず、身を起こしたままのワシリーにコードは貫かれた。
日中の明るさまでとはいかないまでも、いつもの情事の時の薄暗さの比ではなく、そのせいか
ワシリーを受け入れている自分の今の姿も、情欲的な視線で見つめるワシリーの顔も、嫌になるくらいはっきりと見えた。
「いや…いやぁ…!…あぁっ…見な…ぁ…みなぃ…で…」
ただでさえ受け入れる自分の姿が恥ずかしいというのにさらにそれをワシリーにまで見られ、コードは必死に羞恥を訴える。
「見たいんやもん。ワイにしか見せない可愛いコード、もっともっと見たい」
両手で顔を隠そうとするその手を掴んでベッドに縫い付けるようにして押さえつけ嫌がるコードに構わずワシリーは動き始めた。
「や…あぁぁッ!…いやぁ…わし…り…いやァァァっいやァァァァッッ!」
髪の毛を振り乱し、アメジストの瞳を潤ませながらワシリーの下でコードが甘い悲鳴を上げる。
「嫌やいうてこないなってるやん…ええんやろ。なぁ言って、コード…」
コードのモノは触れもしてないのに挿入だけで既に勃ちあがり震えている。だらだら先走りを垂らす
それをワシリーに見られてしまっては何を言ったところでワシリーにとっては拒絶の言葉など無意味だった。
「ひッひぃッあッわしりッあッひっひいいいッッ!!」
「さっきからヒンヒン鳴いてばっかやな。悦すぎて言葉にならへんの?」
ぐちゅぐちゅぐちゃぐちゃと絶え間なく粘着質な音を響かせてワシリーの雄がコードの内壁を擦り、
突き上げて問うも、コードの口から意味なす返事は戻ってこない。
「あぁッあうぅぅッいっいやぁぁッあッそこッそこはぁッアァァァァッッ!!!」
内部を蹂躙していたワシリーの雄がある一点を突くと、大きく開かせられた足先をひくひくと
震わながらコードの先端から滴る先走りの量が一気に増す。
「あぁ…やっぱここ突くとよぉ締まる…あんたの中本当ええ…ずっとこうしてたいわ…」
奥に入れ込んだままくいくいと小刻みに動き、その部分だけを刺激してやると射精でも
したかのようにどぷりと先走りを流してコードが鳴き叫ぶ。
「わしり…ぃ…あぁッおねがッもぉ狂ってッ狂ってしまうぅッあぁッひぃッいやぁぁぁあぁぁぁイヤァァァァッッ!!!」

「だから何度も、言うてるやろ…?」

感じる部分にモノを押し付けたままでコードの耳元に唇を寄せて耳を甘噛みし、ぴちゃ、くちゅ。
と音を立ててコードの耳を舌で犯しながら囁く。

「狂うて、ワイに狂うて。愛してる…コード」

「いッあッひぃ………いあぁッヒッひぃッ…あ…アアアアアァァァーーーーッッッ!!!」
愛を囁かれ、強く激しく最奥を突き上げられ、ギルドハウスの中で誰かに聞こえるかもしれないなどと
考えてる余裕もないほどに淫らな悲鳴を上げてコードは達していた。
コードの身体に散るどろりとした白いそれを一瞥するもワシリーは動きを緩めるどころか一層激しくコードを貪り喰らう。
「あぁっわしりぃっあぁっいぃッあっあっもっとぉっ」
ずん、ずん。と大きく内部を深く突かれながら理性の箍を完全に外してしまったコードが
ワシリーを奥まで咥え込んでいる秘部を見せ付けるように双丘を自ら広げて甘く誘い、そして強請る。

「あぁっあぁぁッあうぅぅぅッもっとッもっとぉ…あぁッわた…しを…お前にッ………」

《くるわせて。》

最後の言葉は唇だけが動く。

「コード…ッ………」
恋人の名前を呼ぶワシリーの声は僅かに震えていた。
「あんた…いつもそうや…そうやってワイの理性ガリガリ削って…最後には壊してッ…!」
「あ…ひぃッ…ぃ…アァあぁぁぁぁぁッッッ!!!!」
がばッと覆いかぶさるワシリーの背中に両腕を回し、勢いよく奥を貫く雄をコードもまた思うが侭に締め上げる。
「アァァァッあぁぁっひぃっあッあァァァァァッ!!いぃッ悦いぃッひッひぃッあッいぃアァァァァッッ!!!」
「狂うてコード…ワイにもっと狂うて…なぁ…コード…コードッ…!」
ワシリーもまたコードの内部で快楽を得ているのか喘ぎ混じりの声で言い、決してその腕から
逃げ出せぬようにコードの身体を掻き抱き最奥を強く何度も突き上げた。
「あぁぁッひっあぁあうぅッあうぅぅッひぃっ…わし…り…あ…ぁ…アァァァァ……………!!!!」
愛しい人間の名前を呼びながら、愛しい人間をすぐ側で感じながら。コードは愛しい人間にその身を、心を、欲望を。全てを委ねた。


* * *


「んーっ…」
小さな声を漏らして瞼の向こうの明るさを感じ、ワシリーは目を開く。
夜明けの光とは違う。顔を動かさないまま周辺を見渡して明かりの元を探した。

(あぁ、朝やのうて机の明かりや。あれ…でも『あの後』風呂入ってベッド戻る時にワイが消したはずやし…)

その明かりの側に見えた背中と、ベッドに自分以外の気配がないことに気づいた所で飛び起きる。
「コードはん!?」
「起きたのか」
ガウン姿で机に向かっていたコードはワシリーの声に振り返る。
「あんたワイ眠った後に起きて続きしとったんですか…?」
「最初に言ったはずだ。中断できるような研究ではないとな」
「あー…堪忍なぁ…」
半身を起こしぽりぽりと頭を掻くとワシリーはベッドから離れ、コードが向かっている
机の側に置いたままの椅子に腰掛けた。
「今度は何だ」
そんなワシリーの動向を見届けた後、書面に目を落として走らせる羽ペンは先程『使った』ものとは別のものだ。
「ワイもそれ終わるまで起きてます。『邪魔』してしまったの後悔はしてへんけどワイだけぐーすか眠るのなんか悪いし」
「気遣いなど無用だ。とてつもなく邪魔だからさっさと寝ろ」

「うっわぁぁぁ…ついさっきまでワイの腕でアンアン鳴いてた後のこのギャップがまたたまらんわぁ〜♪
 …羽ペンもさっきのと違うのってやっぱり見るたび思い出しちゃって研究どころじゃな…ってうぐおぉああぁぁ!!!」

コードの手によって分厚い本が身長が縮むのではと思わせるくらいの強さでワシリーの頭上を直撃した。

「……………ダブルキャスティング。今度こそ喰らうか?」
「いえ、結構です…」
「ならいい」

殴っていた本を死神の名簿の上に置き、その後コードはワシリーの方に目もくれずに研究の続きに没頭する。
「………………」
ワシリーもほとんど強制的に研究を中断させてしまって『一応は』申し訳ないという気持ちはあったのだろう、
その後は何も話しかけることなく黙って座っていた。

「?」

10分ほど経ったあたりだろうか、ふと聞こえた物音にコードが顔を上げてワシリーの方を見ると、
その先には椅子の背に身を預けた状態で寝息を立てている恋人の姿。
「…フン」
コードは小さくため息をつくとベッドの方へ行き肌がけをワシリーの身体にかけてやり、
熟睡しきっているワシリーの無防備な唇を啄ばみ口付ける。

「日々狩りに明け暮れてる癖に無茶しおって…小童が」

言葉は毒づいているもののどこか優しい口調でそう囁くと、書面に置いた羽ペンを再び手に取りコードは研究の続きに戻った。



 

 

 

 

 

 

 

 

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