...Yes, My Princess.
 → → →

 

『呂揮、呂揮』

建物の影に身を潜めてから呂揮がPTチャットに合わせ彩の呼びかけに応答する。

『呂揮です』
『どうだ、上手くいきそうか?』
『はい。追いかけてる騎士団連中、俺がリィさんと入れ替わった事に気がついてないようです』
『分かった。じゃあ予定通り1時間半、そのまま逃げ回って騎士団撹乱してくれ』
『了解、マスター』
『それから呂揮』
『はい?』
『さっきも言ったけど、万が一の場合はちゃんと言う事。捕まる時はメンバー全員でだぞ』
『はい、分かってます』
『もし俺の言う事聞かないで1人で捕まるような事したら、澪のとこのメンバーと一緒に
 「澪と呂揮は超らぶらぶでぇす♪」ってチャット立てて臨時広場に整然と1列に並ぶからな』
『…………たった今ほんの少しだけあったその気が完全に失せました。
 もしもの時にはプロンテラ騎士団の監獄に一緒に入って下さいね』
『おうっ!』
『騎士団に気付かれたんで1度会話切ります。連絡はまた30分後に』
『分かった、頼んだぞ』

* * *

「えっと、ここかな」
琉風は理にwisで言われた通りの場所にある宿の一室の前に立ちノックをする。
「入れよ」
聞きなれた理の声を確認して部屋の中へと入り、窓際にある大きめのベッドの上で煙草を吸っている理に近づいた。
「よかった。上手く騎士団から逃げられたんだね」
「逃げれなかったら今頃ココにいねえだろ。あの場所に居たハイプリが大聖堂に出た賊がオレだって
 タレこんだらしいからしばらくはアリバイ工作だ」
「アリバイ?」
理のいるベッドの側まで来た琉風が首を傾げる。
「今呂揮がオレのフリして騎士団を撹乱シてる。その間オレが違う場所にいたってことを証明するためのアリバイだよ」
「…らこさん助けるためだけど騙すのってやっぱりつらいな」
表情を曇らせる琉風にどちらかというと呆れた様子で理は小さなため息をつきベッドサイドの棚の灰皿に煙草を押し付ける。
「ったく相変わらずのイイ子ちゃんだな。オレらが行かなかったら・らこがどうなってたか分かんねんだぞ?」
「うん、そうだよね…そういえばらこさん1人で本当に大丈夫かな。シスターとかものすごい
 取り乱してたし。らこさんは平気って言ってくれたけど」
「むしろその場にいるだけ野暮だろ」
「え?」
聞き返した琉風の問いには答えずにとりあえず。と言いながら新しい煙草に火を点ける。

「少なくとも呂揮の撹乱が終わるまではココだな」
「ねえ理。アリバイ工作って俺と理がここにいればいいの?」
「要は今オレがお前と一緒にいるって事を回りの人間に分からせりゃいんだよ」
「具体的にどうやって?」

それを聞いた理はどこか楽しげな顔になる。

「そうだな…声出しゃいんじゃねぇの?」
「声?」
「あぁ・声。オレの名前呼んで・デカイ声だと尚イイな」
「理の名前出しながら話してたらいいのかな。それじゃあ…あっ…!」
理が突然身を起こし琉風の手を引くとベッドに引きずり込む。
「…理…何…んっ……」
半分も吸っていない煙草を灰皿に投げ困惑した表情の琉風に構わず唇に口付けた。
「んっ…はっ…ちょっと待って理っ…言ってる事と話がちがっ…」
ぬるりと咥内に侵入してきた舌を舌で押し返し、首を左右に振ってキスから逃れ抗議する間も理は琉風の服を脱がせ続けてている。
「馬鹿かお前・隣の部屋に聞こえるような声で会話スるつもりだったのか?騒音この上ねえだろ」
「だって理がでかい声で話しろって…」
「別に会話じゃなくてもイィんだよ・オレの名前さえ呼んでれば………SEXの時のお前のデカい喘ぎ声でもな?」
「…!!!………ことわ………んッ…あっ…」
理の唇が顎から鎖骨にかけて滑り、琉風は首を逸らせるがその動きに抵抗らしき色は見られない。

「随分聞き分けイィんだな・ヤダだのダメだのぎゃーぎゃー喚かねえのか?」
「だって理が捕まるのは…やだ…」
「だったらもっと声・出せ」
「ひっあんっっ…あっ待ってっ…」

完全に上の服を脱がされズボンに手がかかった時琉風はその手を制して理に向かって手を伸ばす。
「待って俺が…理のっ…」
伸びたその手が自分の足の間に触れてくる琉風の意図が分かってか理は服を脱がそうとした手を止め見守っている。
ぎこちない手つきで理の雄を中から引き出すと指を巻きつけ、きゅ…。と少し強めに握りこんだ。
触れたことでぴくりと反応したそれを直に感じることで無意識に息を飲む。
「んっ…」
ためしにぺろりと舐めて舌先でその熱を確かめ、何度もそれを繰り返した。
ハイウィザードに理が拉致された時に理の雄を咥えたことはある。
勢いもあったとは言えこんな大きいモノを口に含んでいたことが今更だが信じられず、
なかなか先に踏み出せずちろちろと先端部分を舐め続けていたが、突然口から離してしまった。

「どうしよう…口に咥えてたら理の名前呼べなくなるよね」

大真面目に言う琉風をしばらく見たあと、理がぷっと吹き出す。
「え?何、くすぐったかった?」
「そうじゃねえよ・本気で言ってるトコが相当アレだな」
「だから何…んむっ!」
頭を両手で捕まれ半分ほどまで一気に咥えさせられその息苦しさに琉風の目尻に涙が浮かぶ。
「半端に勃たせといて放置はねぇだろ・ちゃんと最後までイかせろ。その後たっぷりオレの名前叫んでもらうからな?」
頭を押さえつける理の手は本気で抵抗すれば振り払えるくらいの弱さだったが、
琉風は苦しそうな表情をしながらも逃げようとはしなかった。
「んっんっむ…んぅぅんッ…」
それどころか咥内を満たす理の雄に舌を絡めて悦ばせようとしているようだった。
咥内に直に伝わる熱に理が欲情しているのだと分かったことに安堵し、そして同時に嬉しくもなっていた。
もっと悦ばせてあげたい。もっと。
頭を動かして口で扱きつつ吸い上げると、ちゅる、ちゅぷんっと琉風の口から湿った音が零れていく。

「エッロい顔」

口を離さぬまま理の方を見上げると琉風の前髪を弄んでいる理と目が合い、とたんに琉風は雄から口を離してしまう。
「じろじろ見るなよ恥ずかしいから…」
「離すな・ちゃんとしゃぶれ」
「んっんむっ」
再び口に含ませられ、歯を立てないように気をつけながら理の雄をれろれろと嘗め回す。

「お前…前しゃぶった時は下手クソだったのに妙に慣れてねえか?」
「呂揮に…教えてもらって…」
「呂揮のでもしゃぶったか」
「違う…理のしかっ…!」

顔を上げ首を振る琉風の頬に両手を添え乱暴に上向かせられるとどこか冷めた表情をしている理と目が合う。

「呂揮に言われたんだ…今まで理にしてもらって気持ちよかった事してあげればいいって…」
「へーぇ?んじゃ・今お前がヤってんのはサれてヨかった事か」
「………」

今更否定することも出来ず目の前の雄をしゃぶる事に専念した。
理はそれ以上なにも言っては来ずに無表情に近かったその顔に今は薄い笑みを浮かべて
頬を捉えていたその手でただ琉風の頭を撫で、銀髪を指で梳いている。
口に含めるギリギリの所まで咥え、届かない所は両手を添えて擦ってやる。
琉風の咥内から伝わる温かい感触を堪能しようとしているのか、それとも舌の動きから琉風の『されて気持ちよかった事を』探ろうとしているのか。
どちらかだったとしても悦を感じているのは間違いなく、扱けば扱くほど、舐めれば舐めるほど
先っぽを咥えているだけでも苦しくなってくるほど理の雄は琉風の咥内でその存在を主張していた。

「んっんむっんッんんぅぅぅ……………!!!!」
前触れもなく流し込まれる熱いもの。
呻きながらも琉風は咥内に吐き出された精を受け止め、喉を鳴らして必死に飲み下す。
「んぅぅ…あぁっはぁッあッ…は…ぁ…ッ…」
「飲むのも飲まれるのもヤダとか言ってたクセに今日はどうした?」
全て飲み下したあとぴちゃりと理の雄から口を離して琉風が大きく息をついていると、理の親指が唇に残る自分の吐き出した精を拭う。
「理にも気持ちよくなって欲しかったから…」
「それも呂揮の入れ知恵か?」
「言ったのは呂揮だけど、俺も本当にそうだなって思ったから」
「ったく・どこまでもどこまでもイイ子ちゃんだなお前」
「あッ…!」
ベッドに倒され、手早く琉風の下肢を露にさせ足の間に指を忍び込ませる。
辿り着いた秘部を指の腹で擦ってやると理の腕を掴みその胸に顔をうずめて琉風は顔を赤らめた。
「うくっうんっ…指ぃ…ゆ…び…」
「指がどうした」
「なかに…入れ…てっ…あッんあぁッあはぁぁッッ」
理の中指がつぷりと埋め込まれ頭を理の胸に擦り付けて開いた足先をヒクつかせる。
「指1本で随分ヨさそうな声出すな・しゃぶって興奮でもシたか」
「うくぅんっうぅんっあっううんっ」
取り出したホワイトスリムポーションの栓を口で開け、ぽたぽたと雄から秘部にかけて垂らすたびに琉風はぴくんぴくんと腰を泳がせる。
いつの間にか2本に増えていた指がポーションを絡ませながら琉風の秘部から何度も出入りを繰り返していた。
「あんっあくぅんっくぅッんッあッんあぁぁッッ」
「言葉にならねえくらい指に夢中か」
「アァァァッッ!………あッあッアァァァァッッ」
ずぷりと指が更に増やされ3本の指が中で動いて琉風の内壁のあちこちを刺激する。
「夢中になんのはイィがちゃんとここに居る意味忘れんなよ?」
「う…ぁ…こと…わ…あぁんッあんっあんッあはッあぁぁぁッんあぁぁぁぁッッ!!!」

ぐちゃぐちゃぐぷぐぷ。ぐちゃぐちゃくぷっ。

ここに来た目的を思い出し理の名前を出そうとした瞬間根元まで入れた
指が激しく小刻みに動き出し快楽を帯びた鳴き声にすりかわっていった。
「あぁっあんっ理ぃっそんなはげしぃのっ…やはっアァァァァァァァッ!」
琉風の奥を探りながら出入りを繰り返す理の指は緩まるどころか一層激しくなっていく。この行為だけで
そそり立った雄をちらりと見て、琉風にもよく分かるようにそこへ徐々に顔を近づけた。
「たっぷりしゃぶってもらったからな。お前にもイィ思い・サせてやるぞ?」
「あぁっあっあっあぁぁンッ…あ…ぁ…はぁァァァァァァッッ!!!!」

理の言うとおり、雄を咥えて興奮していたのかもしれない。
琉風は自らの雄が理の咥内に包まれていくを見ながら、雄全体がぬるりとした感触に包まれたと同時に耐え切れずに精を吐き出してしまっていた。
「はぁ…っ…あぁッ…こと…わり…ことわり…」
雄から理の口が離れると秘部の指も引き抜かれ、ぐったりとして琉風が喘いでいると理の両腕によって半身を起こされた。
「あッ…こと…わりぃッ…」
後ろから両足を抱えられ、秘部に押し当てられたものはついさっき琉風が口に含んでいたものだ。
何度か入り口を雄でつついた後に理は抱えていた琉風の足を急に離し、雄は深く奥へと突き刺さる。
「あっひあぁァァァァァッッ!!!」
肩に頭を乗せ仰け反る琉風の唇を舐め、深く挿入した状態で理は腰を揺すった。
「あふっあぁッあんっ奥っ奥にっ理のぉっあぁぁッ」
「文字通りの串刺し・だな」
「あはぁあああぁぁッッ!!!!」
唇が離れ口の端から飲みきれない唾液を垂らしてそれでも琉風が呼吸を整えようとしていると、足はさらに上へと抱え上げられてしまう。
「アァァァァッッ!!!そんな奥までぇッあッあぁんッ深すぎるよぉぉッ!」
挿入が一層深くなり本当に琉風は熱い肉の棒で串刺しにされているような気持ちになる。
「ソレがイィんじゃねえの?」
理の上に乗るような形で高く足を抱えられ、僅かに身体を動かされただけでも琉風へと伝わる刺激はあまりにも強すぎた。
「あぁっあぁっそのまま揺らしちゃあっあっくぅぅんっ」
「イィカッコだ・目の前に鏡があったらさぞいい眺めだろうな」
「…………あぁぁぁッッ!!!」

足を大きく開いて雄を飲み込んでいる今のこの姿。
鏡などなくても恥ずかしくてたまらなくなり、やめさせようとぱたぱたと琉風が両足をばたつかせる
胡坐をかいた理の膝にその両足を引っ掛けて閉じられなくさせ、自由になったその手を琉風の雄へと伸ばす。
「あぁぁっまってっどっちもは…!…おかしくなるっどっちもはおかしくなっちゃうよぉッ…あぁァァァッ!!」
「おかしくなりてぇんじゃねえの?」
指先が琉風の雄に到達し、雫を溢れさせるその先端をくりくりいじり続けながら理が言う。
「お願っ理ぃ…それはっ…あッあッあぁんアァァァァァッッ!!!」
下から突き上げて琉風の身体を大きく揺すり、先端を弄っていた指を琉風の雄に巻きつけ
根元にかけて一度ぬるりと扱くと達したのではと思われるくらいの先走りがどろりとそこからあふれ出た。
「『どっちも』がスキなんだろ?」

それを聞いて全身がぞくりとしたのはきっと『期待』。

「あんっあんっあんっあんっあっあっあぁうぅぅぅぅッッ!」
下からの突き上げが、扱く手の動きが。どんどんはやく激しくなっていく。

『どっちも』が好き。だからお願いもっと、もっと。

その隠れた琉風の期待に応えるかのように理の雄が琉風の大好きな場所をぐりっと攻め、
自らの体重も相まってかいつもよりも強く当たる雄に琉風の鳴き声は止まらない。
「はあぁぁぁッッ!!!理っ理ぃッあぁんそこぉッそこはぁッアァァァァァッッ!!!」

ずちゅ、ずちゅ。ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅじゅぷっ。

「あぁぁうぅぅひぃんっあッひぃッひぃあぁぁぁぁぁーーーーッ!!!」
同じ場所ばかりを滅茶苦茶に突かれ、嬌声を張り上げながら結合部から立ついやらしい音と共に
耳元から聞こえる理の熱い吐息は琉風の身体を容易く絶頂へと追い上げていく。
「あああぁっもうだめもうだめもうだめぇッ!止まらなくなるっきもちいぃの止まらなくなっちゃうよぉッあうッあうぅッんあぁぁぁぁッッ!!」
「そうか・止まらなくなっちまうか…」
何か悪巧みでも考えているような笑いを含んだ理の口調に疑問を持つ余裕すら今の琉風にはない。
「あぁぁぁッあァァァァッッ!!!イくっもぉイくぅッ理っあんっ理ぃっ…イくッ……ひっ…ぁ………ぁあ……アァァァァァァアアアアアーーーーーッッ!!!」
追い上げられるままに己を解放しようとした琉風を襲ったのは苦痛。
「あぁぁぁっヤァァァァッやぁぁああ理やだやだ離してぇぇッッ!!!」
心地よい箇所を突かれながらぐぅ…と張り詰める雄の根元を理の親指で圧迫されせき止められた苦しさから琉風は涙を流していた。
「前に気持ちイィの止まらなくなるのダメつってたろ?だから止めてやったんじゃねえか」
「あぁんッあんっおねが…離して離してやアァァァッ!!」
理の雄は琉風の体内で暴れ容赦なく快楽を与えてくるのにそれを吐き出す術を奪われ、
その上で身体を跳ねさせながら自らの雄を戒めている手をどけさせようとする。
そんな琉風の手に構わず理は指をさらに強く押し付けることでそれを拒み、琉風の身体を下から突き揺さぶった。
「ヤァァァッヤァァァァァァッアァァァァァヤァァァァァァッッッ!!!」
ふと理が動きを止め、獣じみた声を張り上げ泣き続ける琉風に問う。
「どけたら気持ちイィの止まらなくなるんじゃねえの?だったらこのままでもイィよな」
「やぁぁぁッこのままはやだッやぁぁぁッ!」
自分の膝の上で髪を振り乱して首を振る琉風の痛々しいまでに張り詰めた雄をもう片方の指でつぅ。
と撫でながら発する理の口調は今琉風に強いている行為とは裏腹に優しい。
「だったら・どうシて欲しいんだ?」
「止まらなく…して…気持ちいいの止まらなくして…ッ」
「…そうか」

それを聞いた理が動きを再開する。
琉風の哀願を突き放し、指を戒めたままで。

「やぁぁぁぁぁッヤァァァァッ!!そのままはやだよッそのままで奥突かないでぇッ!
 俺本当におかしくなっちゃうよぉッアァァァやアァァァァァァァッッ!!」
「オカシクなればいいだろ・もっとココ突きまくればオカシクなるか?」
『ココ』と言って理の雄が突いた場所はさっきまで沢山攻められた琉風が気持ちよくて気持ちよくてたまらない場所。
「ヤァァァッヤァァァッッあぁぁぁぁぁぁやァァァァァーーーーーーッッ!!!!!」

イイ場所をたくさん突かれてこんなに気持ちいいのにこんなに苦しい。
琉風は自分自身でも止めることが出来ずに悲鳴に近い声を張り上げていた。

「ブチ込まれてヨガって鳴き喚いて、ケダモノみてぇだな……ココに来た目的
忘れんなよ・オレの名前呼ばねえとオレがココにいるって分かんねえだろ」
「やはぁッやぁぁッ理ぃッ…ことわりッ…んくぅんッあっあっ…あぁぁぁぁッッ!!!」
悲鳴混じりに名前を呼ぶ琉風の姿に悦を帯びた息を混じらせながらも鼻で笑う。
「ケツ穴にズポズポ突っ込まれながらヨガって喚いて律儀に言ったコト守って・クソ真面目で
 イィ子ちゃんで。そのクセスケベでやらっしぃオトコだな・なぁ?琉風…」
「あぁッあんッやッやッ…ァア…………………ことわっ…アッ…アァァァァァーーーーーーーッッ!!!!!」
根元を押さえていた指を離し強く握って扱きながら数度理が腰を動かし、琉風はせき止められていた精を放った。
勢いよく吐き出されそれはびしゃびしゃとベッドの上に飛び散っていく。
「あうんっうくぅんっ…あんッアァ…んッ…!」
強制的に達することを出来なくさせられていた所を一気に解放させられ、理の精を受け止めた
琉風の身体はその余韻を引き摺り小刻みに震えている。
最後の最後まで吐き出し終えると全身の力を抜いて理の胸にその身を預けた。
「あ…ぁんっあ…はぁんッ…あんッ…ん………」
膝の上で喘いでいる琉風の顎に理の指が絡むと素直に上を向いて理と視線を合わせ、琉風の方から口付けてきた。
僅かに顔を傾けることで理はそれを受け、琉風の身体に腕を緩く巻きつける。
「ナカに残したまま続けてほしくなかったら自分で抜け」
「ん…んぅっ…あぁ…あンっ…」
唇が離れた後に言われた理の言葉で背中を理の胸に密着させたまま素直に腰を浮かせて雄を引き抜いていく。
「ひあぁッひゃっあぁっ…あっあぁっ理っ」
琉風の秘部から引き抜かれ、ぬるぬると体液に濡れた雄を琉風の秘部にそのまま擦りつけてきた。
何処より敏感になっている秘部に今さっきまで受け入れていたものが当たるのが気持ちよくて琉風が腰を揺らす。
「あぁっあっあんッあぅっんッ」
「おら・ちゃんと名前呼べって」
「理っ…理…こと…わりっ…」
理にそう言われて、今何のためにこの場所に来ているのかということを思い出し理の名前を呼ぶ。
「随分素直でアリバイ作りに協力的・だな」
「…………」
それを聞いた琉風は一度理から視線を逸らしてしまうが理の両手が琉風の頬に触れ自分の方を向かせた。
促しているのか唇を舐められ、それから琉風は小さな声で答えた。
「………だって理が捕まるの……やだよ……」
それから聞こえるか聞こえないかくらいのさらに小さな琉風の声。
「らこさん一生懸命シスターと話してて…呂揮だって今っ……なのに『これ』欲しいよ…
 もっともっと欲しいよ理……捕まらないで…いかないでお願い…理…」
それを聞いた理が目を細め舌なめずりする。
「こと…わっ……あっあっアァァァァッッ!!!」
十分にほぐれたままの琉風の秘部に指を突き込み吐き出した精を掻き出しながらまだ柔らかい内壁を弄んだ。
「あっあんっひゃうぅぅんッあぁぁッあぁん理ぃっあぁんッはァァァァァッッ!!!」
その指で琉風は軽く達してしまうが、早急に指を引き抜き理が琉風の身体を仰向けに押し倒し、
足を広げさせそのまま雄を押し当て突き上げる。
「あぁぁぁァァァァァッッ!!!!」
覆いかぶさる理の背中にすがりつき、大胆に腰をくねらせ理の雄を奥へ奥へと誘う。
与えられる快楽に瞳を、そして雄も秘部をも濡らして更なる悦を強請っていた。
「あぁっあっあっことわりぃっいっぱいしてっ気持ちいいの止まらなくしてぇッ…
 アァァァァァァもっともっとぉッそれもっとぉぉッアァァァことわりぃ…!!」

『理の名前を呼ぶ』

何故名前を呼ばなければならないのか考えられなくなるほど琉風は意識の全てを目の前の男に塗り替えられつつあった。
ズプズプと体内に入ってくる熱い雄が気持ちよくて、抱きしめられる腕が嬉しくて、唇を重ねられ舌を吸われるのが心地よくて。
「イくッあぁぁぁイくっ…ことわりぃッことわ…りぃっ…ことわりぃッあアァァァことわりことわりィィィッッ!!!!」
先程のようにイく寸前にせき止められることを恐れたのか更なる悦を貪りたかったのか。
琉風は理の背中にすがりついていた両手を自分の雄に持っていき、何度か扱いて達していた。
「オナニーおっ始めるとか相当溜まってんのか?」
「はぁっあんっあぁんっあっあんっこと…わりぃっ…」
両手を自らの精液にまみれさせて震えている琉風の身体を雄を入れたまま四つん這いにさせ腰を突き上げるような体制にさせる。
恥ずかしいことを言われても、恥ずかしい格好をさせられても。琉風は恥じず拒まず理の前で全てを曝け出す。
「あ…ァ…理っ…こと…わりぃ…あんっあぅぅんああぁんあぅぅんことわりッことわりぃぃッ…!!」
琉風の雄に理の指が巻きついて動きが再開し、それに合わせて琉風が腰を振る様を後ろから理は好色げに眺めていた。

「まだ・だぞ?」

囁かれた理の低い声は何度も達した琉風の身体に新たな熱を宿した。

* * *

「らこさんおかえりなさーいっ!!!」
桜子がホームのドアを開けるとすぐに莉良が駆け寄り抱きついてくる。
「今日はらこさんの好きなきのこのスープだよ」
「そうなんだ。徹夜の仕事明けに好きなものを頂けるって最高の贅沢だね」
莉良に腕を引かれ中へと入ってくると史乃、呂揮、理。次々と桜子に声がかかる。

「仕事おつかれーそんでもっておかえりー」
「おかえりなさいらこさん。お疲れ様です」
「オカエリ・昨日はイイもん見させてもらったな」

それから最後に台所でスープの味見をしていた彩が桜子に近づく。
「おかえりらこお疲れ。朝飯すぐ食うか?先に寝るっつんならサンドイッチにしてとっとくけど」
「うぅんみんなと一緒に食べるよ。でも先にお風呂入ってきていいかな」
「いいぞ、上がるころには多分食えるだろうから」
うん。と一つ頷いて一呼吸おき、桜子がその場にいる全員に聞こえるような通る声で言う。

「それから皆。本当にありがとう」

「どういたしまして。ギルメンあんま見くびんなよ?行こうと思えばどっこへだって行くんだから」
「そうだね、ごめん」
彩の言葉に僅かに苦笑に近い笑みを零してそう言ったあと、桜子がきょろきょろと居間やキッチンを見回しはじめる。
「そういえば琉風くんいないね」
「あ〜琉風はな〜………」
桜子の問いかけに朝食の準備を再開しながら口調が急にしどろもどろになった
彩に代わって答えたのは桜子の腕を取っていた莉良だった。

「琉風ならまだ寝てるよぉ。起こしてこようか?」
「ううんそのまま寝かせてあげて。きっと疲れてるだろうから」
「うん、まぁ大聖堂乗り込んだりとか色々あったしな!」

どこか誤魔化す口調で話す彩は次に言った桜子の言葉で凍りついた。

「色々あった上に一晩中だしね」
「ひっ…一晩中って…」
「うん一晩中でしょ、大体把握はしてるから。大聖堂にいた時もリィくん捕まるんじゃないかってすごく心配してたし。
琉風くんもきっとすごく不安で繋がってたかったんじゃないかな。何処がとは言わないけど」
「そういう風に静かにかつ具体的に把握すんのやめろらこ!ここで通りすがりの人が………」

「誰か来る」

言葉を続けようとした彩の言葉を莉良が急に遮った。
昨晩の来訪者を察した時とは違う莉良の険しい表情に自然とそこにいた全員がドア口を見る。


こんこん。


莉良の言ったとおり日の登って間もない朝にドアをノックする音がして、史乃が昨日と同じようにドア口に立った。

「どちらさーん?」
「プロンテラ騎士団の者ですが」

応対していた史乃が無言で彩に視線を注ぎ、彩もそれを無言で頷くことで返事をする。
彩の合図が出た所で史乃が扉を開けるとそこには1人の騎士が立っていた。

「朝早くに申し訳ありません、少々お伺いしたい事があって参りました」
「ほいほい、なーにっかな?」
一瞬だけ鋭い表情になったものの史乃はあくまで普通に笑顔で対応する。
「実は昨日大聖堂で侵入者がありまして」
「あぁそれなら聞いてるぞー。ウチのサブマスターも巻き込まれた事件だからなー」
「えぇ。その侵入者の1人というのがこちらのギルド在籍のチェイサーだという情報があったもので…
 理さん、でしたよね。いらっしゃいますか?少々お話を伺いたいんですが」

「オレだけど」
「!?」

騎士が成人男性としては標準より小柄ということもあってか190近くある長身の理と史乃が見下ろす
体制にすっかり物怖じしてしまったらしく、ひくんと騎士が息を飲み込む。
その顔は怖い帰りたいと訴えていた。

「で・オレがなんだって?」
「あの…あ…あのですね…昨日夜の11時から12時半くらいまでの間、どこで何をしていらっしゃいました?」
「さぁな・一々そんなこと覚えてねぇし」
「大体で構いませんので教えていただけますか?」
「あぁ…確かアルベルタの北東にある宿屋に居たか」
「そうですか、お1人で宿泊されたのですか?」
「野暮なコト聞くなよ・北東の宿って言えば連れ込み宿だぞ?SEX目的に決まってんじゃねえか」

メモに書き込んでいた騎士の手がぴたりと止まる。朝食の準備をしていた彩も一瞬石像の如く
動かなくなるが、これはアリバイのためアリバイのため…とギルドチャットに独り言にも似た呟きを垂れ流しやりすごそうとしているようだった。

「あの…それを証明出来る方は…」
「ショウメイデキルカタって言えばSEXの相手で同じギルドの琉風ってモンクだな」
「同ギルドに在籍の方は証明の対象外とさせて頂いております」
「だったな・どっちにしても散々鳴かせてイかせまくったからまともな証明なんてできねえだろ」

もうやだもうやだ帰りたいとあからさまに顔に出ているが騎士はそれを押し殺して平静を装いつつも質問を続ける。

「他に証明出来る方はいませんか?」
「それがだめっつんなら…」

メモ帳に視線を落としていたため、理の視線がその背後に移ったのも、背後にいつのまにか『誰か』が立っていたことも騎士は気づかなかった。

「俺俺、俺が証明しようか?」
「うぅうううわああぁああああああ!!!」

後ろから杜若が突然話しかけてきて騎士がとうとう我慢しきれず飛び上がる勢いの悲鳴を上げた。
前は理と史乃に立ちはだかれ、背後からは同じく長身の杜若に立たれ、騎士はとうとう涙目に近くなっている。

「杜若さん!!いきなり背後から話しかけないで下さいびっくりするじゃないですか!!」
「俺11時半くらいから同じ宿にいたから彼…リィのアリバイを証明できるよ」
「証明するってどうやって…!」
「だって俺隣の部屋にいて声聞いてたもん」
「声………ですか?」
「あそこの宿壁が結構薄いからさぁ、あぁんことわり気持ちいぃよぉとかもう出る出ちゃううぅぅとか
 喘ぎ声がほぼ筒抜け状態?おらもっと足がっぱり開けって言ってたのは間違いなくリィの声だったよ〜?」
「ええとあのっ!そこまで説明しなくてもいいですから!」
「『理』なんて名前の人間そうそういるもんじゃないと思うけど…これじゃあ証明にならない?」
「その時間帯でもあの…あの…あのですね…その…声というのは聞こえて…」
「んー?その時間帯っていうのは11時台?12時台?11時台だったら『ひあぁぁんことわりの
 きもちよすぎるよぉぉぉ』で12時台は『きもちいぃもっとそこいっぱいつよくつきまくってぇあぁんいぃいいい』かな?」
「あのですからっ!そこまで説明しなくてもいいです!!」
「え〜やっぱ大事な証言なんだし丁寧に説明しなきゃ駄目じゃない〜?あとこういうのとか」
「なっ…杜若さんッ!!これってとうさ…むぐーっ!!!」

杜若が差し出してきた写真を見た騎士が顔を真っ赤にして叫び後に続く言葉を杜若の大きな手が騎士の顔半分を覆うことで奪う。

「も〜人聞き悪い事言わないの。アリバイ証拠でしょアリバイ証拠。これで足りないならまだあるけど?あぁ足りないのは
 時間帯の証言かな?1時台と2時台まだだったよね〜1時台はあぁああもぉおかしくなっちゃうよぉぉおで2時台は…」
「ぷはっ…とっ…とにかくですね!!」

口を覆う杜若の片手を両手を使ってなんとかどけると騎士は大声を出して杜若の話を半ば強引に中断させた。

「11時半から12時半までのアリバイは分かりましたのでそれ以降の事はお話し頂かなくても結構です!
 11時から11時半までの間どこにいてそれを証明して下さる方はいらっしゃいますか?」
「え〜、賊が暴れてたのって11時から12時半まででしょ?30分くらい多めに見ようよ」
「駄目です杜若さんこれは規則ですので!証明する方がいない場合は騎士団に同行していただいて…」

「それは私が証明します」

細く、それでもしっかりとした声が聞こえ、騎士が今度はなんだと後ろを振り返ると
そこにいたのは昨晩ホームを訪れたアコライトの少女だった。

「おーやー誰かと思えば。昨日はわざわざありがとーな、具合はもういいのかー?」
「はい、熱も下がってもうすっかり大丈夫です」
「あの…貴女は?」

史乃に向かって一つお辞儀をしたあと、アコライトの少女は目をぱちくりとさせている騎士を見上げた。

「私、ここのギルドのマスターさんにお伝えしたい事があって昨晩ここにお伺いしたんです。
 でも私その時体調が悪くてこちらのチェイサーの方にフェイヨンのギルドハウスまで送っていただいたんです」
「それは何時頃ですか?」

理、史乃、杜若に完全に背中を向けてアコライトの少女の方を向いて尋ねる騎士にアコライトの少女は続けて言う。

「11時前です。ギルドハウスに戻ったら私が無断で抜け出したせいでメンバーが私を
 探しに全員が出払っていて、戻ってくるまでこの方が私の側にずっとついてて下さったんです。メンバーの1人が
 戻ってきてチェイサーさんがお帰りになったのは11時半くらいでした」
「丁度アリバイが出来ていない時間帯ですね…」
「もし私の話だけで信用していただけないのでしたら私のギルドメンバーにも確認を取ってください。名前をお教えしますから」

まっすぐに見上げるアコライトの少女を見てにこにこと笑って騎士は首を振った。

「いえいえ、聖職者である貴女がそうおっしゃるのですからそこまでの証明は必要ないでしょう。上の方にはそう伝えておきますので」
「うっわ〜なんかこの娘と俺との態度の差がでっかくない?俺の方なんて物的証拠まであるのにさ〜」
「杜若さんその話はもういいですから!!……とにかく事情は分かりましたので失礼します!!」

もうその場にいるのも堪えられなくなったのか杜若にまくし立てるような口調で言い、側にいたアコライトの
少女にだけにこやかに会釈するとそのまま脱兎の如く騎士は走り去っていった。

「お・ま・え・はっなあぁぁぁぁぁぁぁああああっっ!!!」

騎士が完全に見えなくなった後、彩が杜若に詰め寄ってホームのドアをきっちり閉めそれから怒鳴り声を上げる。
「アリバイ協力頼んだけどあそこまで行くのはやりすぎだろうがぁ!」
「ん〜アソコまでってどこまで〜?琉風ちゃんのえっちな声のマネしたこと?ハメてる所を盗撮してそれを
 証拠に出そうとした事?それとも別の理由?杜若おバカだからわかんなぁ〜い」
「だから一々言わなくていいッ!!」
「だって〜疑われてるんだからちゃんと潔白証明するにはトコトンやんなきゃでしょやっぱ。それなのにさっきの
 騎士ときたら顔真っ赤にしてとっとと帰っちゃって初心だね〜まだまだ言う事あったのに…1時台に入ったくらいからの
 琉風ちゃんのもう公衆の面前ではとても言えないような単語連呼しまくって過激なおねだりしてた時のとか超やらしー
 アングルで撮ったSSとか…何聞かれても大丈夫なように色々用意してたのにさ〜」
「だぁあああああもう言うなしゃべるな口走るなぁああ!!通りすがりの人が立ち止まって聞いてたらどうすんだ
 ってそれより何より!!!目の前に女の子がいるの分かって言ってんのかぁっ!!!」

そこで杜若はすぐ側で口に両手を当てて顔を真っ赤にしているアコライトの少女を悪びれた様子もなくにこやかに見つめた。
「あ〜これは失敬。ちょーっと君には内容が濃すぎちゃったかなぁ?」
「お前はもう喋るなっ!」
どこから取り出したのか彩はデモ用のマスクを杜若の口元に押し付け、一呼吸おいてからアコライトの少女に視線を合わせる。

「熱、もう下がった?」
「はい。ちゃんとマスターに伝えてからここに来ました」
「そかそか、偉い偉い。もしかして『さっきの事』言うために来てくれたのか?」
「はい。私のギルドのマスターから昨晩起こった大聖堂の事で今日ここに騎士団の方が来るという
 話を聞いたので私に出来る事があればと思ってそれで…」

「11時から11時半までのアリバイは宿の主人に頼んでたんだけどな」

その側で理が火を点けた煙草の煙を吐きながら送る視線にアコライトの少女は黙り込む。
咎められていると感じたのだろう、少しだけうつむいたがきゅ。と胸の所で両手を握り締めた。

「でしゃばった事をしたとは思っていますごめんなさい。でも…」
「でも・お前の『嘘』の方がよっぽど信憑性があった」
「…!」

驚いた様子で僅かに目を見開いたアコライトの頭に煙草を持っていない理の手が伸びそっと撫でる。

「有難う・助かった」
「お役に立てて…良かったです」

小さくではあるが笑みを浮かべた理に、アコライトの少女も顔を上げ嬉しそうに笑い返した。
「よしよしよし。アリバイ工作が上手くいった所で。約束どおりお礼という訳でお願いしてた
 リィと琉風ちゃんがえっちしてるトコを今度は間近でじっくりと…」
マスクを下にずらして言いかけた杜若の言葉は彩の叫びによってかき消されていった。
「なにが約束だそれは最初に却下却下却下却下大却下だって言ったろッ!!!俺の作ったステータスUP料理で我慢するッ!!!」
「ちぇ〜っ彩のけちんぼぉ。でもまぁ約束だったししょ〜がないからそれで
 我慢してあげる。その代わり今日の朝ごはんもつけてほしいな〜♪」
「食いたいなら手伝えよっコンポート作るからあそこにあるりんごの皮むけ!」
「手作りデザート付きなんて朝から豪勢だね〜」
言いながら杜若がキッチンの方に行ってしまうと、一連のやりとりにその場に立ち尽くしたまま
おろおろしている少女の肩に彩が触れて中へと促す。
「ほら、君もおいで」
「えっでもあの…」
「リィのアリバイ証明で『嘘』つかせちゃったお詫び。変なヤツも混じってるけど良かったら一緒に朝ごはん食べてけよ」
ぽん、と一つ肩を叩いて彩が中へ入っていくと今度は莉良がアコライトの少女の手を引く。
「こっちおいでよ、あたしのマグカップ貸してあげる。昨日はミルクティーで淹れたけどあのお茶、蜂蜜入れても美味しいんだよ」
アコライトの少女は少しためらった様子を見せるが莉良に誘われるまま1つ頷いて中へと入っていき、
奥にいた桜子に涙を浮かべながら抱きついていた。
理も煙草を咥えたまま居間のテーブルに投げてある雑誌を拾い目を通し始める。
最後に戻ってきた史乃が呂揮の隣で止まりぽりぽりと頭を掻いた。

「なぁ、呂揮」
「何?」
「琉風、寝たままで良かったなー」
「うん、居たら卒倒しそうだもん。どっちかっていうと琉風よりも彩マスの方がね」
「あぁーまぁなー?」

自分の事など言われてることなど知らずの彩がフライ返しで手にしたフライパンをカンカンと叩く。

「ほら目玉焼き焼いてくぞー各自卵の個数を申告しろ!まずこれから風呂行くらこから!」
「私1個ね、半熟片面で」
「おうっ」
「じゃあ俺3個〜」
「杜若の3個却下!ギルドルールで目玉焼きの卵は最大2個までだ!0.5個、1.5個希望は誰かと協定組めよ!」
「え〜俺2個だけじゃ力でない〜」

落ち着いた様子のアコライトの少女の頭を2・3度撫でたあと、背後で続く彩と杜若のやり取りに小さく
微笑みながらバスタブに湯がはられ、既にちゃんと準備が整っている浴室へと桜子は歩いていく。

めまぐるしい夜は明け、ホームはいつも通りの時間が流れ始めつつあった。










 

 

 

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