となりドウシ・アナタと。

 

「じゃあ4種類確かに受け取ったよ、これは今日のお礼。物で申し訳ないけど」
澪が袋の中の収集品を確認した後、琉風に羽のついた水色の帽子を手渡した。

「澪マスこれ…羽のベレーじゃないですか!しかも+7精錬って…!」
「俺のお下がりだけど良かったら使って。特に攻城戦では役に立つだろうから」
「受け取れないです!俺の渡したやつはそんなに高いものじゃないし」

羽のベレーを返そうとする琉風の手を両手で覆ってやんわりと澪がそれを制する。
「収集品自体安くても俺にとってはすごく必要なものだしね。
 色々な所に回って収集してきた琉風の手間を考えたら相応だと思うよ」
「でも…!」
「俺はもう使わなくなったものだけどそれなり愛着はあるし、出来ることなら大切にしてもらえる人に使ってもらいたいんだ」
「………」

琉風の方からはもう言葉はなくただ困ったように澪の方を見ている。
「使ってもらえないかい?琉風」
断る理由が既に尽きてしまっていたらしい。
「…………分かりました…大切にします」
「ありがとう」
にっこりと笑う澪の手から恐縮した様子で琉風が羽のベレーを受け取った。

「さて、早速コンバータでも作ろうか。出発時間までに間に合わせないとね」
「こんなにたくさんどこで使うんですか?」
テーブルの上に置いてある山のように積みあがった白紙のスクロールの束を見ながら琉風が尋ねる。
「うん、エンドレスタワーでね」
「エンドレスタワー…時間制限がある不思議な塔のことでしょうか」
上目遣いで記憶の糸を手繰り寄せつつ話す琉風に対し澪は首を軽く縦に振る。
「そう。あそこのモンスターは属性がバラついているから効率よく殲滅するために4属性用意して
 メンバーに撒き散らそうと思ってね。彩のギルドと合同PT組むことになってるけど、琉風も行くんだろう?」
「そのことは彩マスから聞いてはいたんですけど、刻の呪いを受けて俺今塔に入れないんです」
「そうか、タイミングが悪かったね。1人で行ってきたの?」
「いえ、理とです。行き方分からない言ったら一緒に来て鍵の作り方教えてくれました」
「そう、リィとか…で。そのペアは何階までいけたのかな?」

「ええと………………………………1階、です」

琉風の言葉に聞き間違いかと澪が目をぱちくりさせる。
「琉風、今1階って言った?」
「はい…1階です。塔の中に入った途端に俺だけよくわからないんですけど
 セーブポイントに戻されてそのまま刻の呪いを受けてしまって」
「あぁなるほど、そういう事か。あの塔は気まぐれに侵入者をつまみ出す悪戯好きなところがあるからね」
会話を続けながらも澪はスクロールに属性を込めていき白紙のスクロールがコンバータへと生まれ変わっていく。
「行きたいって言ってた俺が戻ってきちゃったから上へ登る意味
 ないって理もすぐに戻ってきて一緒に呪いを受けちゃって」
「せっかく行ったのにそれは残念だったね。永久に入れない訳じゃないから呪いが解けたら
 また行ってみるといい。その内俺の所のメンバーと皆でも一緒に行こう?大勢で行った方が
 より高い階を狙えるしギルド同士の交流にもなるから」
「はい、その時はお願いします」
「じゃあ今日はもうホームへ帰るのかな?」
ひらりと束になった上に最後に作ったコンバータを重ねながら聞く澪に対し、琉風がいえ。と言って小さく首を振る。
「フェイヨンの市場に寄ってから帰るつもりです。らこさんに食材の買出し頼まれてるんで」
「そうか。『あいつら』の動きはあれ以来見られないとはいえ油断はできないからね。気をつけて帰りなさい」
「はい」

話が一区切りついた所でドアをノックする音。

「どうぞ」
澪が入るよう促すと部屋のドアが開き入って来たのは朱罹だった。
「お、スクロールできたんだ。お疲れー」
2人の所まで来ると朱罹がテーブルの上の束になって積みあがっているスクロールをぽんぽんと叩く。

「こんにちは朱罹」
「こんちはー琉風。な、な」
挨拶してきた琉風へ同様に挨拶を返しつつ背後に回る。
「ん?」
軽く背中に胸を密着させつつ肩に顎を乗せてくる朱罹に向かって不思議そうに首を傾げた。
「帰るならこれリィに渡しといてくんない?」

朱罹がそう言って琉風に差し出してきたのはラベルのついていない1本のボトルだった。

「これ、ポーション…とは違うか。すごくどろどろしてるけど何?」
琉風は受け取ったボトルを軽く左右に揺らし、ボトルの中でもったりと動く緋色の液体のようなものを不思議そうに眺めている。
「リィに渡せば分かるだろうから大丈夫。あぁ、口に入れても害はないって事だけ伝えてくれる?」
「うん、帰ったら理に渡しておく」
ごそごそと荷物袋にそのボトルを仕舞うと琉風は立ち上がる。
「それじゃ、俺そろそろ戻ります」
「うん。助かったよありがとう」
軽く手を上げて見送る朱罹と澪に軽く会釈をすると琉風は部屋を出て行った。

「朱罹」
琉風が部屋を出てしばらくしてから澪が自分の隣で胡坐をかいて座っている朱罹を横目で見る。
「ん?」

「もしかして渡したの『アレ』?」

「うん、『アレ』。四季奈に中身のことは内緒で渡してって頼まれた」
「やっぱりそうか。朱罹に頼む当たり周到さが窺えるね」
「そりゃそーだろ?四季奈が直接渡したりなんかしてみろよ。顔に出たりとか、下手すりゃ
 口滑らすかもしんねーじゃん。ハキャーとかあの変な奇声上げたりとかしてさ」
「確かにありえるね。四季奈も変なところで大胆で変なところで照れ屋なところがあるから」
「なな。今日のET狩り彩マスの所さ。リィと琉風と、あと呂揮以外は全員参加なんだろ?」
「だね。その3人以外からは参加表明が出てるし、呂揮は四季奈に
 魔女砂乱獲要因としてこれから連れて行かれるらしいからしばらくは戻れないだろう」
「となると。リィと琉風ホームに2人っきり?」
「そういうことになるね」

「…使うかな、リィ」
「使うだろ。リィだし」

朱罹に向かって答えた澪の言葉は確信に近かった。

* * *

「ただいま」
「おぉ」

台所で酒瓶から直に飲んでいた理がドアから顔を出した琉風の方をちらりと見て
短く返事をすると再び酒を煽りながら背中を向ける。
「みんなエンドレスタワー?」
「呂揮だけ四季奈に拉致・塔攻略メンバーは行ける所まで上がるって話だから戻んのは多分夜中だな」
そう言ったあとテーブルに置いてあるメモを指差す。
「冷蔵庫の中に鍋…これか」
琉風がそれを読みながら冷蔵庫を開き中に入っている鍋の中身を確認する。

「ソレ・彩マスが夕飯に食えとよ」
「うん。理は?」
「コレカラ」
「わかった」

琉風が買ってきた食材を冷蔵庫に詰めたあと一旦閉め、切ったチーズを皿にならべた
クラッカーの上に盛り付けている理の隣に屈んで棚の扉を開けた時だった。

ギルドチャットから威勢のいい史乃の声が聞こえて来る。

『19階突破ぁぁぁああああああ4度目のMVPいくぜごらあああああ!!!』

『それはそれはオメデトウ・101階目指してガンバレ?』
『うっわーリィさんその棒読み声援超萎えそー…ってかよー。なんでよりにもよって今日の昼に
 琉風と2人で塔に行っちまうかなタイミング悪ぃー大人数でぎゃーぎゃーわーわーで超楽しーのによー』
『ごめんね史乃。そっちはみんなは大丈夫?』
『今のところは全員無事だよ。今次の階に行くための装備変更とアイテム支給中。多分帰るの遅くなると思うから留守番お願い』
『わかりましたらこさん。気をつけて行って来て下さい』
『あーやっと矢作り終わったー!琉風琉風琉風〜。テーブルのメモ見てくれたか?』
『見ましたよ彩マス。今それの準備してる所です』
『それに書くの忘れたんだけどさ、冷蔵庫の左下にバジル切ったの入れといてるから食べる時それソースの上に散らして喰って』
『えっと…あったこれですね。わかりました』
『え………バジルって…彩マス何作ったの…?』
『何って莉良、昨日アルベルタの市場で買ったトマトで作った
 冷製パスタのソースだけど。お前も一緒に行ったんだから知ってるだろ?』

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!』

莉良が不満いっぱいの叫び声を上げる中、理がさらに付け加える。

『と・崑崙のジジィ産のチーズとスモークサーモンで作ったカナッペにナッツドレッシングのグリーンサラダ。以上』

『なんだとぉぉぉぉーーーーーーーーーーーッッ!!!』

今度は史乃が悔しそうな声をギルドチャットに吐き出した。

『彩マスひどいよ!なんであたしに黙って作るのー!!』
『え?莉良たち合流前に外で食べてくるって言ったから言う必要ないと思って』
『作ってるって分かってたら食べにホームに戻ったよ!ずるいずるいー!ずーるーいーッッ!!!』
『っくしょー…トマトにチーズ、んでもってスモークサーモン…その上ナッツドレッシングで今が旬の
 生野菜喰うとか超最強じゃねーかー…この酒と一緒に飲んだらすっげー美味いんだろーなー…』

『そういえば史乃くん出発前に澪から美味しそうなお酒貰ってたね。
 私も食べたいし、いっそこのまま帰っちゃおうか』

『ちょおぉぉおおらこおおおおおおおエンドレスタワーでそれはやめろおおおおおおおおおッッッ!!!』
『半分冗談に決まってるじゃない彩』

『おいこらまてぇい!半分冗談ってコトは半分本気ってことかよ!!!ここは一度出たら1週間入れない上
 人なんてまず通りすがらないから簡単に人の補充できねえだろおがああぁぁぁぁぁっ!!!』
『ずるいずるいよー!食べたい食べたい食べたいーーーー!!!』
『大丈夫だよ莉良!たくさんあったからちゃんと残しておくから!』
『約束だよ琉風!絶対だからね!!』
『メシにありつきたかったら働けぇえええ!おらおら次の階いくぞー!!』

彩の言葉を最後にエンドレスタワーのメンバーの会話が途切れ先程までの騒ぎが嘘のように静かになる。

「これだけあるなら大丈夫だよな…莉良、そんなにこれ好きなんだ」
琉風が改めて鍋の中身の量を確認しながら言うと、その隣に立った理が
鍋の中身を少しだけ指ですくい琉風の目の前にもっていく。

「舐めてみろ」
「ん」

琉風が言われるままにソースで赤く染まった理の指をぱくんと咥える。
「感想言ってみ」
「…おいひい」
理の指を咥えたままで琉風が答えた。
「莉良が馬鹿騒ぎしたの分かっだろ?彩マスがこれ作った時は莉良だけじゃなく他のメンバー
 全員よっぽどの理由がない限りは飯時に必ず帰ってくるくらいだからな」
「ころわりもほれすひらんら」
「ナニ言ってっか分かんねって」

理がうっすらと笑みを浮かべながら口内に入れている指を動かして琉風の舌をくすぐると、
半開きの琉風の口からくちゅ…と湿った音が漏れた。

「んッ…」
くすぐったかったのか琉風が指を咥えたまま小さな声を漏らすが、その行為が残りもちゃんと
舐めろという意味として取ったのだろうか、進入してくる指を咥内に含んだままちゅぅ。と吸い上げている。
「……………」
そこで少し呆れたような表情をしつつ無言で自分を見ている理の顔をきょとんとしたような顔で見上げた。
「無警戒にもホドがあんだろ・お前」
「何が?」
「さぁな」
咥えさせていた指を引き抜きそのままひと舐めする理を、やはり琉風は不思議そうに見ているだけだった。


* * *


「あ、そうだ」
洗った食器を片付け終えた琉風がソファーの下に置いたままの
道具入れから預かっていた緋色の液体の入ったボトルを取り出す。
「はい、朱罹から」
居間のソファーに座って残りの酒を空けている理にそのボトルを差し出した。
「なんだよコレ」
「口に入れても害はないって言ってたけど食べ物とは違うのかな?理に渡せば分かるって」
理が受け取ったボトルの蓋を開けるとほんのりと鼻腔をくすぐる甘酸っぱい香りに誘われ琉風が顔を近づける。
「果物の香りがする」
「サクランボだな」
「あ、そうかも」
さらに理がほんの少しだけ中身を手に取り指で擦る。

「これ・ローションじゃねぇか」

「ローションって…女の人がつけるやつ?」
「お前コレ知らねえのか?」
「え、違うの?」
全く知らない様子の琉風に酒瓶を軽く唇を押し当て理が何かを考
えているような仕草を見せ、ややしばらくしてから口を開く。

「…簡単に言うとマッサージし易くするためのモノ・だな」

「理マッサージなんてするんだ」
意外そうな表情で言う琉風を、理は意味深げな笑みを浮かべて見た。
「なんなら・今から体験シてみるか?」
「いいの?」
「あぁ」
「お願いしようかな。どういうものなのか興味あるし」
「んじゃ・シてやるから大き目のバスタオルとってこい」
そんな理の笑みなどに何の疑いも持たずに、むしろどこか嬉しそうな顔をしながら琉風が居間から見えなくなる。
ごそごそと琉風がタオルを探しているであろう物音を聞きながら理は残りの酒を煽る。

「…本当お前・その辺は今も全く成長してねえんだな」

「理、これくらいの大きさでいい?」
全身をすっぽり覆えるほどの大きさのタオルを手にして戻ってきた
琉風の耳には理の先ほどの言葉は聞こえていないらしい。
「あぁ・ここに裸で横になれ」
差し出されたタオルを倒してベッド状にしたソファの上に広げその場所を指差し促すと、そこで初めて琉風は躊躇した。
「え、ここで?」
「あぁ」
「ここじゃなくて部屋がいい」
「ダメだ・必ずメンバーの1人は居間に残ってドアと窓の『防壁』の監視。ここのギルドルールだよ」
「でもここで裸になってもしらこさんとか莉良とか見たら…」
「ソッチの方はかなりの大人数で塔に突撃らしいからおそらく時間一杯までは戻んねえぞ・戻る
 としてもギルドチャットでそれらしきことくらい言ってくるだろ」
「そうだね…分かった」
少しだけためらいは有る様子だったが、一応は納得した様子で靴を脱いでソファの上に乗りあがる。

「仰向けな」
「うん」
着ている服を脱ぎソファの隅にたたんで置くと、広げられたタオルの上に仰向けになった。
理も上の服だけを脱いで琉風の服の上に重ねるように投げ、横になっている琉風の足を開かせるようにしてその間に入る。
「ちょっ…理っ…」
理の目の前で足を広げる格好になってしまい恥ずかしくなったのか半分身を起こそうとした琉風の身体を理が片手で制する。
「じっとシてろ?」
「……うん」
琉風が大人しくまたころんと横になるのを見て口元だけで笑うと、理はボトルの蓋を開けて中身を手に取った。
ボトルからどろりと流れ落ちる緋色の液体を琉風がじっと見ていると、理の手からそれが溢れて琉風の胸にしたたり落ちていく。
「…っ…」
その冷たさに一瞬身じろぎするが、じっとしていろと言われた手前動くわけにもいかずと大人しくそれを見守る中、
理はたっぷりと手にとったあと両手で擦るようにして馴染ませ、その手をゆっくりと琉風の胸に這わせ始めた。
「…ん…ッ…」
ローションで滑りがよくなった琉風の身体を理の大きな手がゆっくりと撫で回していき、
上半身の特に胸や下腹部、脇腹に理の手が行くと声は出さないもののびくびくと身じろいだ。

「なんかこれくすぐった…い…」
「動くなって」
「ッ…ん…!」

言いながら理の指が故意なのかたまたまなのか、琉風の乳首をかすめると出そうになった声を必死に噛み締める。
「あ…んく…ぅ…ッ」
何度も掌で胸全体を撫でさすられているうちに乳首は硬くしこってしまい、マッサージされて
いるだけのはずなのに感じてしまった自分が恥ずかしくてせめて紅潮
しているであろう顔を隠すように琉風は顔を精一杯横に向けた。

「あッ…やぁッやだッ…!」

SEXの時の愛撫とどこか似ている理の指の動きに思わず漏れそうになった声をただ
必死に殺していたが、理の手が琉風の雄に触れた瞬間耐え切れずに抗議の声を漏らす。
「んー…?」
「やだ…あ…ぁ…ッ…」
さも惚けた口調で理は首をかしげつつも手の動きは止まらずモノを数度扱いては上半身へと滑らせる。
手が再度下半身に下りてきた後、その指がさらに奥の秘部へと滑り込んだとき
とうとう我慢しきれなくなって琉風が身を起こしてその手を制した。
「や…待って…あァ…ぁ…っ」
「気持ちヨくねえ?こうシたら」
琉風の手が止めるのも構わずにくにくにと秘部をいじりながらにやりと笑う理にそこではじめて嫌な予感を感じ取った。

「やだッ…!…何っ…何でそんな所…!」
「ここまで言わねえと分からねえか?『コレ』は元々『こういうコト』に使うもんなんだよ」

「なッ…!!!」
「っつか気づくの遅ぇって」
「……!!!…や…やめるッ…も…」
起き上がろうとした琉風の身体を片手で難なく押さえつけ、ローションにまみれた琉風の雄を握って上下に扱く。
「あッやめッあぁぁッ…!」
「お前だってこんな半端のままじゃキツイだろ」
半分立ち上がりかけている琉風の雄をローションでぬるつく指で扱き続けながら笑う理に目を潤ませながら睨みつける。
「やっ…だぁ…やだぁっ理の嘘つきッ…こんなの…!」
「何の警戒もしねえお前が悪いんだろ・それに」
「ひゃッ…!」
雄と共に秘部の入り口を指で捏ねられびくっと琉風の身体が跳ねる。

「毎度恥ずかしげにヤダヤダ喚くけどな。お前だって本当はこういうコト・サれんの好きなんだろ?」

「………!!!」
「…違うって否定しない所を見ると好きだって認めはスんのか」

押し黙る琉風の腰を軽く開いた自分の両足に乗せるようにして、大きくそのまま開かせた。
「んくッやッ…!」
晒された秘部に向かってローションを垂らすと、敏感な部分に直接触れるせいで開かされた足先がぴくぴくと揺れる。
「あッあぁぁぁッッ!」
ローションにまみれた秘部に理が人差し指と中指を押し当て一気に突きこんだ。
「やッあッやめぇッやだぁぁッ!」
その指を強引に左右に開き、その中へもローションを流し込んでいく。
「やだっやだッ中に…やだぁッ…!」
入りきれずに溢れたローションはどろりと琉風の身体を這うように流れそれを理が身体に塗り付けていく。
「ヌルついて気持ちイィだろ・ココとかもな…?」
片方の手は秘部に指を埋め抜き差ししつつ片方の手で雄を扱きはじめた。
「あくっうぅッやッやだッ離して…やめるッこんなのやだ…理ッやだァ…!」
「慣れんの早いな。いつもと感触違うから興奮シたか」
「やぁぁぁッ!」
ぐぷりと3本目の指を琉風の秘部に埋め、ほとんど間を空けずに4本目の指も強引にねじ込んでくる。
「やだッやだッやだぁぁぁぁッ!だめっ無理…そんなに入らないッ…!」
「入ったぞ?抵抗ねえから奥まで」
「やッあッあぅぅぅぅッッ!」
4本の指をくわえ込ませたままで理が指を抜き差しすると音を立てて流し込まれたローションがあふれ出てきた。

ぐちゃっぐぷっぐぷぐぷぷっぬぷぐぷぐぷッッ

「やだっ音やだっ音やだぁぁぁッ!」
ローションが自分の中でかき混ぜられて鳴る音のあまりの卑猥さに恥ずかしさで涙を浮かべながら琉風が訴える。
「やだもなにも、お前のケツ穴がそういう音立ててんだろうが。見るだけじゃなく音でも感じてんのか」
「違う違うッ!やだよぉ…音やだぁッ!」
「やだやだ言いながらヨさげにケツ穴ヒクヒクさせやがって・そんなに感じるならもっと音立ててたっぷり掻き混ぜてやろうか?」
「やだっやッやだぁぁぁッんぁっあっんあああッッんぅぅぅ……!!!!!!」
背中に敷いていたタオルの端をつまむとそれで琉風の口元を覆う。
さくらんぼの香りがほのかに感じる理の手によって琉風の口はタオルの上から塞がれた。

ぐぶぐぶぬぷっッぐちゃっにちゃにちゃっぐちゅぐちゅぐちゅっ。

「んぅっふぅッんぅぅッんんん―――――ッッッッッ!!!」
明らかにわざとに音が鳴る様に秘部をかき回され塞がれた口の向こうで琉風がくぐもった声を出す。
下半身を理に預けるような形で開いた足を震わせ出すその声は抗議の声なのか、それとも。

「気持ちイィんだろ」

「んぅぅッんむッんぅぅぅぅ…!!」
口を塞がれたままで琉風が必死に首を振ることで違うと否定しようとしていた。
「スケベでヤラっしぃ音聞こえんだろ・気持ちヨくなきゃこんな風にならねえよな」
せめて音をやめさせようと琉風が手を伸ばし、秘部をかき回す理の指に触れる。
ローションや自身の先走りで湿ってぬるつくその指が自分の秘部を激しく出入りしているのを
感じて恥ずかしいと思うと同時に身体の中心をずくんと更に熱くさせてしまっていた。

「なんだ・またオナニーでもスんのか」
「んぅぅぅッ!!!」

小さく首を振りながら琉風が慌てて手を引っ込めると理がようやく琉風の口から手を離して琉風の身体を抱え直す。
「我慢しねえでイジりまくりゃイイだろ・先っぽからダラダラヨダレ垂らしてさみしそうにシてんのに」
「やだ…もうしないッ…あんなことしないッ…!」
「やだやだガキみてえにダダ捏ねてんじゃねえって・たまには腰振りたくって誘ってみろ」
「やだ…やだっやだぁ!」
「コッチと同じくらい素直にな…?」
「あぁぁぁぁぁぁッッ!」
ぐじゅり。と秘部の指を奥にねじ入れた後、身を屈めて琉風の雄にまとわりつくローションを舌先でぺろりと舐め取ってやる。
「ひ…ぁ…!」
「味までコレか…そうえいば・口に入れても害はないって話だったよな」
笑いながらぺろっぺろっと見せ付けるように舐める理に向かって琉風は首を振り続ける。
「やだやだぁッ舐めないでっそこ舐めないでっ!」
「嘘つけ、しゃぶられるのも舐めまくられるのも大好きだろお前」
「やだぁ嘘じゃないっ!しゃぶらないで舐めちゃやだぁああああッ!!」
「認めろよ。ケツ穴掻き混ぜられてその音でも感じて・ちんぽしゃぶられてヨガるやらっしー男だってな」
「やだやだ言わないでそんなこと言わないでッやだぁぁぁぁッッ!!!あぁァァァァァァァッッ!!!!!」
秘部に入れた指を動かしつつ、雄を咥えじゅるじゅると下品な音を立てて吸い上げ悦楽と共に琉風の羞恥を煽る。
「やだっやぁぁッやだよやだぁぁッ!音やだよ恥ずかしいよやだぁぁッ音もう立てないで理お願い音とめてぇぇぇぇッッ!!!」

じゅばじゅばじゅばっじゅるっぐじゅぐじゅぐじゅっ。

「やあぁッあぁぁぁッあっあっあうぅッひっあッあうぅぅゥッッ!」
張り詰めた雄をそれこそ獣の如く舐め啜り、入れられた指を思うがままこねくり回されて、
身体をいっぱいに仰け反らし琉風もまた獣じみた歓喜の悲鳴を上げていた。
「ひぁっあッあぁぁっんあぁぁッあうぅうううッッ」
喘ぎ声しか漏らすことができなくなるくらい散々に琉風の恥部を嬲りつくした後、
理はちゅぽ…と雄から口を離して敏感な先端に軽く歯を立てる。
「あ…ぁ…やだよっ…ことわりっ…もぅやだぁ…」

「もっと鳴き喚いてヨガり狂え」

琉風の哀願をあっさりはねのけ琉風が見ている前で張り詰めた雄は咥え込まれた。
「やッやッやぁぁぁッやはぁぁァァァァッッ!!!」

ぬぷぬぷぬぷっぐじゃっぐじゅぐじゅぐじゅっ。

琉風の悲鳴と粘つく音が居間の部屋に反響する。

「やっやだよっやだッ理ッ…あぁッあッあッあぁぁぁッ指やだ指やだぁッ
 中かき混ぜちゃやだぁッ!舐めないでしゃぶらないでやぁぁぁぁッッ!!!」
自分の股間に顔を埋めて雄を貪り舐める理の頭をなんとか退かそうと両手を添えてもその手に全く力は入らない。
せめて後ろへ下がろうとソファに手をつくが理の片腕であっさり引き戻されてしまい、
逃げようとした罰だと言わんばかりに秘部に入れた指を小刻みに左右に動かして締め付ける内壁を押し広げた。
雄は根元まで咥えられたまま特に敏感な先端を舌でたっぷりとねぶられる。
「やぁッあッあアァァァっ指ッあっ混ぜちゃあッやぁぁぁ舌やだそんな風に舐めないでぇッ!!やぁっあッあァァァッッ!!」

『気持ちいい、もっとして』

心の奥底で思う淫らな願いを必死に押し隠し、身体は従順に理の舌を、指を完全に
受け入れてしまっていながらも拒みの言葉を発し続けた。

「ああ・もっとシてやるよ…」

「………ッ…!!!!」
手についたローションを雄に擦り込みながら発した理の言葉が、自分の心を
見透かされたように感じて快楽に泣き濡れながら顔を紅く染める。

「イけ」

ちゅるっぐぷぐぷぐぷぐぷぐぷっ。

卑猥な音と共に下半身を襲う淫らで激しい快楽。
雄をきつく吸い上げられ、秘部に入れられた指を内側から壊されてしまうかと思うくらいに滅茶苦茶に掻き混ぜられた。

「あッあッあくぅッ…くぅぅぅぅぅン………………ッッッ!!!!」

カリカリとソファを爪で引っ掻きながら、自分の体の中心にある理の頭を
両足できつくはさめこみ口の中へその欲を勢いよく吐き出す。

「あァ…ァ…こと…わ…りぃ……ッ………」

琉風の精を口で受け止め秘部に入れた指の動きを徐々にゆっくりとしたものに変えていき、全て
飲み下したあとに自分の頭を挟み込む琉風の太腿を撫でさする。
「ふ…ぅ…んッ…」
何度か撫でられる内にようやく琉風が足の力を緩めてきたので指を引き抜き
理が身を起こすと、琉風は涙を流して身体を小さく震わせていた。

「なんだよ、気持ちヨすぎて涙出るほど嬉しいか?」

顔を近づけ尋ねてくる理に弱々しく首を振る。

「ちがっ…こんな…の…恥ずかしいッ…恥ずかしいよ…ッ」
「だな・恥ずかしくて本当ヤラしぃ男だよお前は」
「あぅぅッ」

理がボトルを逆さまにして残りのローションを垂らすと、どろりと達したばかりの琉風のモノに
流れ落ち、理の唾液と交じり合いながら秘部へと伝っていく。
テーブルの上に空になったボトルを置くと、琉風の足はさらに大きく開かせられローションを
どろどろにまみれさせられた秘部に理の雄が押し当てられた。

「んあ…アァァァァァァァッッ!!!!」

焦らすことも、入り口を弄ぶこともせずに一気に奥へと突きこまれる。
「抵抗ねえからずっぽり入ったぞ」
「お…く…奥に…ぁ…あ…ことわりの…ぁ…あンッッッ!!!」
「だな・奥の奥…お前の大好きなトコロまで届いちまったな?」
「やあぁッあっあうぅぅぅぅッッつっつよっ…強すぎる…よぉ…!」
理の雄の先端は迷うことなく弱い箇所を狙ってそのまま激しく突き動かし、
容赦なく与えられる快楽攻めに琉風がたまらず鳴き喚く。

「やぁぁッやぁぁぁぁッッ!あぁッそこっそこばっかり突いちゃッ…あっあぁぁッあァァァァッッ!」
「突いたらなんだ」
「ひあぁぁッあぁっひぃぁあッやはあぁぁぁぁッッ!!!」

何処にも逃げようがないほどがっちりと足を抱えられた状態で同じ場所をずん・と大きく
突かれぶんぶんと首を振り泣き声にも似た悲鳴を上げて琉風が精を吐き出した。

「あぁっひあぁっあうんッあうぅぅぅ…!」
「さっきイったばかりのクセに早すぎじゃね?突っ込んでちょっと動いた
 だけでブチまけやがって・どんだけ飢えてんだよ」

動くのを止めずに言葉で嬲りながら琉風の腹部に散った精をローションと一緒に身体に塗りたくってやる。
「うぅ…や…やぁ…やだぁ…!」
「はッ…感じてイきまくってる奴がヨクそんなヤダなんて言葉吐けるもんだな」
「ひあぁぁっ…!」
理が最奥まで入れた雄を引き抜き急に琉風の身体から離れていく。

「くっだらねえ見せかけの理性にしがみついて何が楽しいんだ?」

「うく…ぁ…あぁッ…」
代わりとでも言わんばかりに指を這わせられたが一度雄を突きこまれてかき回された琉風の
秘部は指では満足できないといわんばかりに物欲しげにひくついている。
「あっあっやだっそれじゃやだぁッ…!」

もどかしげに腰を揺らす琉風に理が顔を近づけ問う。

「ナニが欲しいのか言ってみろ」
「理の…欲しいッ…」
「そんな言葉で・俺が納得スると思ってんのか?」
「…………理…の……」
躊躇いがあるのかしばらく沈黙し、それから羞恥を快楽に潤んだ瞳で見上げて理に強請った。

「理の…ちんぽ…欲しい…いっぱい突きまくって…ッ!」

「イィ子だ・琉風」
「んっん…」
さらに顔を近づけて理が唇を重ねる。甘酸っぱさと苦い味のするキスを
受けながら琉風の秘部は理の雄を呑み込まされていった。

「は…ぁ…あぁッ…!」

理が唇を離して身体を重ね、再び奥へと挿入していく雄に琉風の口からはもう拒みの言葉はない。

「んくッあッあ…ぅん…」
ゆっくりと咥え込ませた後、入れたままで腰を動かして内壁を捏ね、達したばかりに
関わらず反応した琉風の雄を数度扱いて理が煽るとそれはすぐに立ち上がり雫を垂らし始める。
「あっあぁッ理のッ…あぁッあッひゃ…あ…おっきいよぉ…」
休みなく喘ぐせいで飲みきれない唾液が開きっぱなしの口の端から伝うのを理が舌で舐め取った。
「お前がこんな風にシたんだろ?もっと奥まで突っ込んでやるから腰振りたくれ」
「んぁっあッんッ…ぁ…」
言われるままに熱い吐息を漏らして腰を揺らしはじめたが、最初はゆっくりとした
動きだったのがそれによって得る快楽にやがて夢中になっていきその動きは徐々に激しく、艶かしいものになっていく。

「あッあぁッはぁぁんッはうぅぅッ…変になるッ理っ…おかしくなっちゃうよぉ…!」
助けを求めるかのように伸ばしてきた琉風の手の平にそっと口付け、ぺろりと舌を這わせその手をそのまま自分の首に回させる。
「恥ずかしいって思ってるのにッ…止まらないッ気持ちいいの止まらないっ…理…やはっやぁッんあぁぁぁぁッッ!!!」
琉風が素直に首に回してすがりつくと、理が身体をさらに密着させてきた。
「んっはぅっ…」
すがる場所が出来たのと直に感じる人肌で安心したのか擦り寄ってくる琉風に低く囁く。

「止まる必要なんて・ねえだろ」

「あ…うぅ…はうぅぅぅぅぅぅッ!!」

身体ごと揺さぶられる衝撃と、奥に突き込まれより一層感じる雄の熱さに琉風はすがった理の背中に爪を立ててしまう。
理はそれにほんの少しだけ動きが緩めたが、すぐに深い挿入を得ようと琉風の足を
これ以上無理だという所まで大きく割り開きぐいぐいと身体を押し進めてくる。

ぐぶっぬぷっくぷっぐぷぷっ。

入り口、内壁から指で届く所までローションをたっぷりと塗りこまれたせいか理の強引にも見える
挿入も琉風の秘部は抵抗なくすんなりと最奥まで受け入れていた。
理が動くたびに響くねばつく音に琉風の羞恥と、それと同時に快感もさらに強まる。

「んあぁぁぁッはッはうぅぅ…気持ちいいっ気持ちいぃよぉっあぅぅッはぁぁうぅぅッアァァッッ!」
「琉風」

熱い吐息と共に名前を呼ばれるのが嬉しくて理に頬を摺り寄せ、琉風自らも腰を揺すり続け理の雄をさらに奥へと誘っていく。
ほとんど抵抗もないまま同じ部分を突かれる衝撃は思いのほか強く、さらに弱い箇所を
雄で圧迫されるとその身体では受け止めきれないほどの激しい快感が琉風を襲っていた。
「あぁッ理ッ理ぃッも…で…るッ…出ちゃうよッ…あぁぁぁッイく…イくッあぁッはあぁぁぁんッ!!」
理の言葉での返事はなく、代わりに腰を強く抱きしめられて琉風の秘部を、最奥を突き揺さぶった。

ぐぷぐぷぐぷぐぷぐぷっっ。

「あ…ぁ…ことわ…りぃ…ッ…!…ア…ァ…アァァァァァァ……………!!!」

自分の秘部から聞こえる淫らな音を聞きながら、身体の中に勢いよく流し込まれる熱い
ものを感じながら。琉風は掠れた声を上げて達していた。

「あ…ア…ァ…ことわり…理ッ…んぁッ…理ぃ…ッ…」
「は…ぁ…」

全て吐き出すと、小さく琉風の耳元で吐息を漏らして理が腰に回していた手を幾度も激しい
絶頂に追い上げられぐったりとしている琉風の背中に回して抱きすくめた。
「はぁッはぁ…ぁ…ことわり…理…理ッ…」
理の胸に身を預け、琉風が行為の余韻に溺れながら乱れた息を整える。

「……最初からそーいう風にスナオになってりゃイィのに毎回恒例の如くダダ捏ねてんじゃねえっつの」

頬に残る涙のあとを舌でなぞるとやっと落ち着いた琉風が拗ねたような困ったような顔で俯く。

「今日のは…理がローションのことマッサージに使うものだって俺のこと騙すから…!」
「騙されて、ハメられて、最終的にヨガって鳴きまくってたお前がソレ言うか?」
「………!」

返す言葉をみつけられなくなったのか敷いているタオルで真っ赤になっている顔を覆う琉風の耳に理が唇を押し付けて囁く。

「気持ちヨかったんだろ?」
「…………気持ち…よかった…」

ごくごく小さな声で琉風が答えるとタオルで隠していた顔を半分だけずらして覗かせ理を見上げる。
「そういう理はどうなんだよ…」
聞くのは恥ずかしいが、自分だけ聞かれるばかりで不公平だと思ったのだろうか、やはり小さい声だが尋ね返す。

「ヨかったぞ?抵抗ナシでズブズブ奥まで入ってくクセに締まりは相変わらずだか」
「やっぱりいい言わなくていい!」

理の言葉を遮るとタオルに顔を埋めたまま猫のように丸くなってしまった。
「ホント、慣れねえな。身体はこんなにスケベなクセして」
「んぁっ…」
そろりと琉風の臀部を撫で背中に口付けると、理の言葉通りに従順に反応してさらに身体を小さく丸くする。

「おら・いつまでも丸くなってねえで先風呂行って来い。そろそろ誰か戻ってくるかもしれねえぞ?」
「!!!」

それを聞いたとたんがばっと琉風が飛び起きる。
「…うっ…」
敷いていたタオルを身体に巻きつけながら琉風が立とうとしたようだが、ソファに手をついた状態からなかなか動かない。
「立てないなら風呂場まで運んでやろうか?姫ダッコとかどーよ」
「い、いいっ…!…大丈夫…」
なんとか立ち上がり、ソファの隅に置いておいた服を抱えておぼつかない足取りながらも風呂場の方へと歩いていく。
「…………」
それをくすくす笑いながら見送ると、軽く身なりを整えた理が煙草に火を点けながらwisを送った。

『おい・戻って来い呂揮』

それから5分ほど経ったくらいだろうか、入り口の扉が静かに開きものすごく申し訳なさそうな顔で呂揮が顔を出した。
「リィさん本当にすみません、ドア開けるまで本当全然気がつかなくて…!…wisくらいすべきでした…」
「気にスんな・こんな場所でヤってる段階で既に。だしな」
「琉風、俺に気づいたでしょうか?声は出さなかったんですけどドア音結構大きかったから」

「気づいてたら今頃大騒ぎだろ」

「……………ですね。あれ?」
理が元に戻したソファの上に腰かけたままで煙草の灰を灰皿に落としていると、その
灰皿の近くにある空になったボトルに呂揮が気づき手に取る。
「これ…四季奈さんのじゃないですか」
「四季奈?」
「はい、四季奈さんって自分の製作したものには必ずこのマークつけるんですよ。ここの部分にほら」
呂揮の指差す部分を理が見ると、ボトルの端の部分に何かのマークらしきものが刻印されていた。
「っつーことはコレ、四季奈が作ったモノってことか」
「はい。最近自身のスキルアップのためと称して製薬の他に色々手がけてる
 らしいですよ。このローションもその中の一つみたいですね」

「へーぇ……呂揮。オレが中身のこと何も言ってもいねえのに『コレ』がローションだってよく分かったな」

「あ…う…」
口を滑らせたと思った時には時既に遅く、理がにやりと笑って呂揮を見ている。

「使われたのか?」
「…はい」

誤魔化せるような相手ではないと悟ったのか恥ずかしそうにしながらも呂揮が白状する。

「ボトルの形も刻印の場所も全く同じだったんで。でもその時の香りとは違うような…」
「お前のは何だったんだよ」
「確か桃の香りでした」
「サクランボに桃か。四季奈の奴・人見て作ったんだな」
「うーんサクランボは大体予想つきますけど…桃って何なんでしょうかね」
「形的にケツ連想するからじゃね?明亭行く度に公開セクハラで澪マスにケツ揉まれまくってんだろお前」
「……………なんだかものすごく恥ずかしくなってきたんですけど……」
「今更だろ。まぁ・モノとしては悪くなかったけどな」
呂揮の手から空になったボトルを取るとゴミ箱に放り投げ、吸い終わった煙草を灰皿に押し付ける。
「あ、リィさんも風呂行ってきていいですよ。俺ここにいますから」
「あぁ・頼む」
理が脱いだ服を指にひっかけ風呂場の方へと見えなくなると、呂揮はメンバー全員のマグカップを用意し始める。

「今度から絶対揉ませないようにしよう…」

戸棚から紅茶の葉とコーヒー豆の缶を出しながらぽつりと呂揮が呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

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