こんなに、こんなに。

 

「さて、そろそろ出てきてもいいよ?ここにはもう誰も来ないから」


返事の来ない沈黙の空間で澪はぽりぽりと頬をかく。
「これじゃあ俺が独り言をいってるお馬鹿な人間みたいでもあるから出てきて欲しいんだけどな」
それでもただ澪の言葉は静かに部屋に響くばかりでそれに答える者はいない。

「………よし。その挑戦受けてたとう」

澪がペコペコのヘアバンドを装備してベッドの近くに移動するまでの時間はそれこそ瞬く間だった。

『サイト!!』

「わぁッ!!!」

装備を使われるとは予想外だったのだろう。逃げる間もなくサイトで炙り出されて呂揮が姿を現す。

「こんばんは、呂揮」
「こんばんは澪マス…」

ものすごくバツが悪そうな顔で見上げる呂揮に向って満点の笑みを浮かべてベッドの上に腰掛けた。
「まさかペコペコのヘアバンドなんて使うとは思いませんでした」
「いつまでも呂揮が隠れたままでいるからだよ。ハイドだろうとトンドルだろうと
 隠れている者は炙り出せるだけ炙り出す。サイトルアフ持ちのたしなみみたいなものだね」
「そんなたしなみ聞いたことないですから!」
「それで。どうしてすぐに出てこなかったの?おかげで俺しばらくの間部屋で
 ブツブツ独り言う怪しい人になっちゃってたんだけど」
「朱罹から明日澪マス達と早朝狩りに行くって聞きました。貴方が行く狩場はいつも危険なところが
 多いから今日はもう休んだ方がいいんじゃないかと思って…」
「あれ、朱罹に話いってなかったかな。明日行くのは別の教授の人」
「……そうなんですか?」
「うんそう。だから呂揮が戻る理由は何もない」
澪が呂揮に向かって手を差し伸べると素直にその手を取り澪の側に近づいた。
「そういえばさっき真っ直ぐ俺の所向ってきましたよね。澪マスも彩マスみたいにアイテムとか
 使わなくても隠れてる人間が分かったりとかするんですか?」
「違うよ。彩みたいにあんな野生じみた感知能力なんて持ってないし」
「野生じみたとか…彩マスそれ聞いたら全力で怒りますよ。でも、そうじゃないならどうして俺の場所が分かったんですか?」

「においで」

「えっ!臭いますか!?ちゃんとここ来る前に砦共同の風呂場でちゃんと洗ってきたんですけど…!」
慌てて離れようとする呂揮に違う違うそーじゃないの。と離れないように呂揮の腕を軽く引きながら首を振る。
「においというか、香り?」
「石鹸とかのですか?あんまり分からないと思うんですけど」
「そうじゃないよ、呂揮が本来持ってる香り。近くにいればすぐ分かる」
「それこそ彩マスのこと『野生じみた』だなんて言えないんじゃないですか…」

「俺からすれば大違いだと思うんだけどね。それにしても、
 来る前にちゃんと風呂を済ませておくなんて、すぐに『始めたかった』?」

言いながら呂揮の肘から指先にかけてつぅっと淫靡な動きで
澪の指が滑ると明らかに動揺した様子で首を振る。
「違うんですこれはっ…琉風が砦の共同風呂の場所分からないって言うから一緒に行ったついでで…!」
琉風の名前が出た瞬間澪は少しだけ眉を潜める。
「琉風か…加入した当初から随分と仲がいいらしいね」
「確かにレベル近いしよく一緒に出かけたりとかはしますけど」
「呂揮は周りの環境のせいで随分大人びてたけど、琉風が加入してから歳相応の
 笑顔を見せるようになってすごく楽しそうにしてるってらこから言ってたよ」
「そうでしょうか?」
「正直嫉妬したね。俺は呂揮にそんな表情をさせることは出来なかったから」

「…琉風にはこんなことしませんよ」

呂揮が身を屈め顔を近づけると、澪の唇に自分の唇を軽く合わせる。
「それに、嫉妬してくれて嬉しい…です」
軽く唇を触れたままで言う。
「俺が本気で心を痛めてるのにそんなこと言うなんてひどい子だね呂揮は」
言いつつも澪はその言葉にどこか嬉しそうな様子で呂揮を抱きしめた。
「んっ」
腰に手を回していた澪の手がするりと下におり臀部を撫で回すが、昼に同じことを
されて抵抗していた呂揮が今は拒まずにそれを受け入れる。
「ん…あッ…」
顔を赤らめるが指を食い込ませ、揉みしだいている澪の手に自分の手を重ね、
臀部で蠢き続ける指に時折ぴくんと身体を震わせる。
「いっそ呂揮の方を俺のギルドに移籍させてしまうか…」
「それは…嫌…ですっ…」
「相変わらずの即答だな。こっちに入れば今よりも側にいられる時間が多くなるのに」
「今そうしたら必要以上に俺が甘えちゃいそうで嫌なんです。貴方が
 安心して背中を預けてくれるような人間に俺はなりたいから。それに…」
「それに?」
「怖いんです…貴方だけしか見えなくなりそうで…貴方のことだけしか考えられなくなりそうなのが怖いんです…」
「いっそそうなってくれればいいと何度考えたか知れないよ…
 まぁそういうふうに言う呂揮だからこそ俺は惚れたんだけどね」
「俺も好きです…大好き…澪マス…」

「こら。こういう時にその呼び方はするなって言ったろう?」
「み…お…澪…」

頬を撫でて促す澪に少しだけ沈黙したあと呂揮がぽそっと小声で名前を呼ぶ。
「そう。いい子だ」
臀部を撫でていた手を身体に回して自分の方へと引き寄せると
素直に身を委ねる呂揮をベッドの上にそっと横たえさせる。
「澪…ぁッ…」
鳩尾までの黒のインナーの中に手を入れて胸に手を這わせ、ゆっくりとした動きで
撫で回しながら徐々にそれをたくし上げていき覗いた乳首に強く吸い付いた。
「んぅ………」
「呂揮はこっちが弱かったよね」
「っ…そんなこと言わな…で…く…んっ…!」
右側の乳首を指で摘んでわざわざ恥ずかしいことを確認してくる澪に抗議しようと
した呂揮の言葉は摘んだまま引っ張られてしまった乳首のせいで最後まで続かなかった。
「や…引っ張っちゃ…んッ…ん…ぅ…んッ…」
泣き出しそうな顔で声を殺そうと口を覆う手の甲に澪がそっと口付ける。
「手をどけて呂揮」
「だめです…声…出ちゃっ…んっ…」
「今日ここにはもう誰も来ないし、俺しか聞いてないよ。それでも出すのは嫌?」
ぺろ、と澪が舌で指を舐めても呂揮は口元から手を離そうとはしない。
「恥ずかしいんです…それにっ…『前の時』朱罹来て心臓止まるかと…!」
「あれは緊急事態だったから。朱罹だってすき好んでやったわけじゃないよ」
「でも嫌ですっ…声は………やだ…」

「じゃあ。声を我慢出来なくさせてしまおうか」
「…………!!!」

驚いたような表情をしている呂揮をにっこりと柔らかい笑みで澪は見下ろしている。
「期待していいよ。たっぷり気持ちよくしてあげる」
「そんな…やッ…待って澪っ…」
「待たない」

きっぱりと呂揮の言葉をはねのけると、呂揮の穿いていた皮ズボンを手馴れた手つきで素早く脱がせてしまう。
「澪っ…!」
「それに」
言いながら呂揮の足を片手で抱えて澪はつけていたミニグラスをそっとはずしてベッドサイドに置く。
「呂揮だって本当はやめてほしくなんてないだろう?」
「んっ…」
それに対する返事はなく、相変わらず口元を手で塞いだままで澪から視線をそらした。
「これ、俺が『前の時』つけたやつだね」
その間も澪の指は呂揮を愛撫し続けており、右の胸付近にある薄紅色の痕を指でなぞる。
「んっぁッ…澪っ…!」
何か言いたそうにする呂揮を気にせずにそのうっすら残る痕に唇を近づけ吸い上げる。
「やっ…せっかく消えかかってたのにっ…!」
鮮やかさを取り戻した紅い痕を見て少しだけ手をずらして呂揮が抗議する。
「服で隠れて見えなくなる所に付けてあげただろう?だから見るのは
 俺か呂揮だけ。一人の時、ここを見て俺とのことを思い出せる…」
「意地悪ッ…!今日ここの共同風呂で琉風にそこ紅くなってるけど
 どうしたのって聞かれて言い訳するの大変だったのに…!」
「やれやれ、そんなことを堂々と聞いちゃったのか」
困った子だこと。と、小さくため息をついている澪にさらに呂揮は言葉を続ける。
「すごく心配そうに聞いてくるからどう答えたらいいのか分からなくて…」
「有る程度聞いてはいたけどあの子は本当に『そういうことに』疎いんだね〜…
 それにしても。ベッドの中で他の男の名前を出すのはあまり感心しないな」
「…あっ…ごめんなさっ…」
澪の言葉に申し訳なさそうに俯いている呂揮の額にそっと口付けを落とす。
「いけない子には、お仕置きだ」
澪の両手が呂揮の引き締まった身体のラインをなぞりつつ下におりていき、
膝を立てさせるとそのまま大きく割り開いた。
「っんッ…ぁ…」
胸への愛撫で立ち上がりかけていた呂揮のモノには一切触れず、顔を近づけ唇を触れたのは秘部だった。
「あ…んぁ…!」
触れただけのその部分に唇を押し当て、少しだけ舌を這わせると呂揮の膝がぴくぴくと揺れる。
「だめ…そんな所…あっ…澪…!」
「俺の全てを受け止めてくれる場所に向ってそんな所呼ばわりはないと思うんだけど」
「やめてっ舐めちゃ…恥ずかしいからッ…!」

「ココに触れる時いつも呂揮は恥ずかしがるね…でも知ってたよ。本当はすごく気持ちいいって思ってたこと」

「!!!!」
真っ赤にして押し黙る呂揮を見つめながら一度ゆっくりと身を起こす。
「呂揮がすごく恥ずかしがってたみたいだから気づかないふりして
 いつも前も一緒にいじってあげてたけど…今日はいじってあげない。ここだけでイきなさい」
「や…だ…」
「呂揮をここだけでイくいやらしい子にしてあげる」
「やだやだやだぁッ!やめてっやめてぇッ…!」
首を横に振って訴えている呂揮に優しく微笑みながら澪は自分の指を舐めている。
「嫉妬した…って言ったろう?」
「やめてぇ…許して…澪ぉッ…!」
「これは罰だよ」
静かに言うとずぷりと唾液でたっぷりと濡らした指を呂揮の秘部にゆっくりと沈めていった。
「やだぁぁぁぁッッ!!やめてっやめてぇっ!」
「痛い?」
「痛いからっ…やめてっ…!」
すんなりと澪の指を呑み込む呂揮の秘部は痛みを感じているなど到底思えない。
埋めた指を抜き差ししはじめるとそれに反応してぴくぴくと呂揮の身体が跳ねる。
「やっあっやぁぁぁぁ!」
「痛くなんてないのにそんな嘘をついて…今日は随分悪い子だね呂揮」
「お願いそこだけじゃッ…前も一緒にッ…そこだけいじるのはだめぇッやめてぇぇぇッッッ!!!」
「悪い子の言うことは聞いてあげないよ。どうしてもっていうなら自分で触ってご覧」
「やっやだっ!!!」
「そうだね…そんなことしなくても十分気持ち良くなってるみたいだし」
澪の視線の注ぐ先にはすっかり立ち上がってしまっている呂揮のモノがあった。
「もぉやめてぇッ…いやらしい子になんてなりたくないッ…!」
「なりなさい呂揮。俺がしてあげるから」
「あァァァァッッ!!!」
澪が挿入している指を増やすと内部の圧迫感も強くなる。それと同時に快楽もまた強くなっていった。
「もの欲しそうにして…ほら、3本目」
「あぁぁぁッやぁぁぁッ!やめてやめてぇぇぇぇッッ!!前もっ前もいじって
 一緒にいじってッ!後ろだけはやだぁっやめてぇッ!」
「駄目」
短くそれを拒否すると入れられた澪は挿入した3本の指で呂揮の内壁を掻きまわし始めた。
「あぁぁッあぁぁッあんッッあッあっやぁぁぁぁぁッッ!!!」
秘部だけを愛撫されて続けて感じる恥ずかしい所を愛おしいと思う人間に
間近で見られ、どんなに前も触れて欲しいと哀願しても澪はそれを受け入れようとしない。
だからと言って自分で触れるような自慰行為をするのは
自分が今よりひどく淫らに思えてそれもすることができない。
無意識のうちに自分で触れてしまわないよう両手でシーツを握ってせめてそれだけはと堪える。
快楽という名の甘い攻め苦に呂揮は声を殺す余裕などもうなくなっていた。
「あッやはああぁぁッッやぁぁぁッやアァァァッッやめてやめてやめて
 だめェェェッッ!!もぉ動かしちゃだめ動かさないでぇぇッ!!」
「…」
泣き叫びに近い声で許しを請う呂揮に澪はやっと指の動きを止める。
「はぁ…はぁ…ぁんっ…」
やっと羞恥の攻めから解放され息を整えようとしている呂揮の秘部に
口付け、指を呑み込んで震える入り口に舌先を押し付ける。

ぴちゃ、ちゅ。ちゅる…。

「やぁッそこっ舐めちゃっぁ…んっ…!」
「…イきそう?」
「ちがっ違う違う…!」
「呂揮」
「やぁぁぁッだめっそれ以上したらイっちゃうからだめもぉ指抜いてぇぇッ!!」
止めていた指を動かされると、首を振って絶頂が近いことをすぐに吐露してしまう。

「駄目だって言ったろう?」

ぬちゅぬちゅと音を立てて抜き差しされ、澪の指が届くぎりぎりの所まで捻じ入れられる。
透明の先走りを零して震える呂揮の雄には少しも触れようともせずに。

「あぁっやだぁッやぁぁッ!指がっ指がぁぁぁッ!やぁぁっ!もぉ我慢できないっ
 我慢できないよぉっ!それ以上ぐちゅぐちゅされたらイっちゃうッ…!」
「我慢しなくてもいいんだよ。可愛い声を出してイってご覧?」

ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅっ。

限界まで追い詰められた呂揮を澪は3本の指で秘部だけを犯し、
卑猥な音で耳を犯し、触れぬままにすることで雄をも犯す。
「…イク…も…あッ…イクぅッ…あッあぁッあぁぁッんあァァッ…
 澪…澪…澪っ澪ぉッ…み…お…イッ…あぁぁァァァッッ………………!!!」
何度も名を呼び、握っているシーツを自分の口元に手繰り寄せながら
びくびくと身体を震わせて欲望を吐き出してしまう。

「ここだけでイっちゃったね呂揮。いやらしい子…」

「あ…み…ぉ…澪ぉ…」
澪が顔を上げ、絶頂の余韻のせいか恥ずかしいのかぽろぽろと流れる呂揮の涙をそっと舌で拭う。
「いで…」
「ん?」
呂揮が何かを囁いたので澪が自分の耳を呂揮の唇に近づける。
「嫌いにならないで…俺のこと…嫌いにならないで…」

「本当に…食べちゃいたいくらい可愛いね」

既にもう食べ始めてるけどと呟いて呂揮の涙をそっと指で拭ってやる。
「もうちょっと悪戯しようと思ったけど…そんな可愛いこと言われたらもう意地悪できなくなっちゃったよ」
「み…お…」
不安そうに名前を呼んで見上げる呂揮を抱きしめて耳元で囁く。

「愛してる」

それを聞いた呂揮が澪の首に手を回してぎゅっとすがりつくと、すっぽりとその身体を包み込んで抱きすくめる。
「後ろだけでイったからってきゃーやだインラーンとか言って幻滅するような男に思われたくないなぁ」
「…ごめん…なさい…」
「むしろそれくらい気持ちよくなってくれたら男としては嬉しいくらいだよ?」
「…………」
しばらくそのままじっとしていた呂揮が澪の首から手を離し、ためらいがちだがズボン越しに澪の股間に触れる。
「…欲しくなった?」
突然の呂揮の行動にも動じることなく見た目よりもずっと柔らかい呂揮の髪の毛を指先でいじりながら尋ねる。

「俺も澪に気持ちよくなってほしいから…」
「いいよ、いっぱい気持ちよくして。その代わり」
「…?」

小首を傾げて澪の続く言葉を待つ呂揮の髪の毛に一度キスすると、その身体を起き上がらせた。

「呂揮も一緒にね」

「あッ…!」
今度は澪が仰向けになり、呂揮に自分の顔を跨ぐような格好をさせる。
「あッ澪っ…」
「俺のこと気持ちよくして」
呂揮はまだ何か言いたそうにはしていたが、やんわりと頭を抑えられ
澪の股間に導かれると、何も言わず素直に顔を寄せズボン越しに口付けた。
「ん…んっ…」
唇で何度か食んだあと、ズボンを緩めていく。
澪の方は呂揮の様子をしばらく見届けていたがやがて目の前に
無防備に晒された呂揮の秘部にちろりと舌を這わせた。
「あ…んッ…!」
びくっと腰を震わせ下半身に意識が行きそうになるのを辛うじて堪え、
ズボンの中から取り出した澪の男根を両手で大事そうに包み込みながらゆっくりと口に含んでいく。
「んっんむ…ん…はふッ…んッ…」
息苦しくなるギリギリの所まで咥え込み、口内を使って澪の男根を扱く。
頭を上下させるたびに鳴るちゅぷっちゅぷっという卑猥な音、愛撫すればするほど
大きくなり口の中を圧迫するそれに嬉しさと、同時に興奮も呂揮は覚えていた。
「ん…ぁ…は…んっぅ…」
時折口を離しては先端から溢れる雫を舌で丁寧に拭い、添えた両手を使って扱き側面に口付けを繰り返す。
最初は呂揮の様子を見ながら臀部を戯れに撫で回し時折秘部を舌でつついていた
だけだったが、やがて少しずつ硬さを取り戻している呂揮のモノをきゅっと握りこんだ。
「んぅぅぅぅぅッッ…!!!」
逃れようと揺れる呂揮の腰を抱えて引き寄せ、双丘に顔を埋めて舐め啜り始めた。
「あっあぁぁぁッ澪っ…澪ぉ…待ってっそんなにしたらっ…!」
澪の雄から口を離しても指での愛撫は続けたままで呂揮が澪の行為を止めようと腰を前後に揺らした。
澪がそれを追わずにいるとぴちゃっと口が離れていき澪の舌と呂揮の秘部とが一本の唾液の糸で繋がる。
そんな様を間近で見られているとも気づかない呂揮の淫らな肢体を
唾液の糸を切った人差し指を自分の唇にもって行きながら澪が存分に愛でる。
「そんなにしたら…欲しくなるから?」
「…欲しくなるから…だめっ……澪のことイかせたい…の…」
「すごく嬉しいけど。呂揮はここに欲しくないの?」
『ここ』と言いながら澪が呂揮の秘部の入り口付近を指でぐにぐにと刺激してやる。
「あっあぁッ…!」
「こんなに物欲しそうにしてるのに…別にここでイかせてくれてもいいんだよ」
「いっ…意地悪…そういう風にしたら我慢できなくなるって分かってて…!」
「俺だって呂揮の悦ぶことしてあげたいからね…呂揮も俺に何かして欲しいことはあるんじゃないのか?」
「こ…れ…」
ごくごく小さいで言うと目の前にある澪の雄の先端にちゅ。と口付ける。

「これ…欲しい…澪のこれ欲しいッ…入れて…いっぱい欲しいっ…!」
「おいで呂揮」

「んっ…」
呂揮がもう一度澪の雄にキスをしてから澪の方に向き直ると、半身を
起こしている澪の身体を両足で挟む形で膝の上に乗った。
「あっ…あぁッ…」
首に手を回す呂揮の頬にキスをしてやりながら臀部を掴み両手で持ち上げる。
秘部に自分が先程まで咥え込んでいた性器が当たるのを感じて小さく呂揮が期待に喘いだ。
「あ…あ…はぁぁぁぁんッ…!」
自分の舌と指で愛撫していたものが中へと入っていくのが気持ちよくて嬉しくて
離したくなくて、首にすがる腕の力を強くして足を澪の身体に強めにきゅっと巻きつける。
「呂揮足緩めて。嬉しいけどちょっとこれじゃ動けないかな」
「あっ…あぁッ…澪っ…あぅんッ…」
快感に震えながらも素直に呂揮が足を緩めると、いい子だねと言って今度は唇に口付ける。
「ふぁっあっ…やあッあアァァァァァァァッッ!!!」
優しい口付けとは想像も出来ないほどその行為は荒々しかった。
下から打ち付けられる熱い塊が最奥まで届くたび呂揮は悦楽の悲鳴を上げ澪の膝の上で淫らに踊る。
「あぁっあっ気持ちいぃッ澪ぉっ…気持ち…いいッ…あッあんっ…ふあぁんッはァァァッ…!」
揺さぶられるたび呂揮の雄が澪の腹部によって擦られ、さらに快感はさらに増していく。
「あんっあぁんッあぅっあぅぅんッ澪っ澪ぉっあっみ…おッ…あっあくぅんっくぅぅぅんッ…!」
「可愛く鳴いて…そんなに気持ちいい?」
「い…いッ…気持ちいい…澪…気持ちいぃっいい…あッ…ぁ…はぁぁぁぁぁんッッ!!!」
ぎりぎりまで引き抜き、呂揮の体重を使って臀部を掴んでいた手を
緩めると言葉どおりに澪の雄が呂揮の内部に突き刺さる。
「やはっあッあンっんあぁぁぁぁぁッッッ!!!」


そしてそれは繰り返される。
何度も何度も何度も何度も。


「あうぅぅっあぅぅッあんッあんッあぅぅっあぅぅぅぅッッッ」
強すぎる快感に言葉を発するのも難しいのか澪の腕の中で髪を振り乱しながら
呂揮が首を振ると少しだけ動きを緩めて澪が尋ねた。
「また、イきそう?」
「はぁッあっも…イ…く…うっくぅんっあぅぅんッッ!」
「イってもいいんだよ。だめだなんて言ってないだろう?」
泣き濡れた顔で喘ぎいでいる呂揮をそう促すがなおも首を振り続ける。

「やだっ…一緒がいいっ…澪と一緒が…澪と一緒にイきたい一緒が…いぃッ…」

「本当に…食べちゃいたいくらい可愛いね呂揮は」
ぴくんぴくんと身体を震わせながら強請る年下の恋人の頭をそう言って優しく撫で慈しむ。
「じゃあちょっとだけ我慢して?」
すぐに達してしまわないように少しだけ呂揮から離れ、腹部から呂揮の
雄を離して動き始めると、今度は呂揮も澪の動きに合わせて腰を揺らし始めた。
「アァァァァッ!あぁっはぁんっはぁぁッあっ澪っもっ…よくなって…俺のなかでっいっぱい気持ちよくなってっ…」
「気持ちいいよ呂揮の中…すごく気持ちがいい…だから」
達すまいと耐えながらも澪を悦ばせようと腰を揺らし続ける呂揮をいじらしく感じ放られた雄に指を絡めてしまう。
「呂揮も俺のでたくさんたくさん気持ちよくなって…?」
強めに握って圧迫し、そのまま上下にぐちゅぐちゅと扱いて一気に呂揮を追い上げた。
「あっだめっだめそこいじったらイッ…クぅ…あぁぁッイっちゃう…!!」
なんとか耐えようとして腹部に力を入れようとするがそれが
澪をもまた高みへと追い上げていることに呂揮は気づいていない。
「大丈夫。一緒にイってあげるから…だからもう我慢しないで呂揮」
「んっんっあッあッあッ…!…だめぇッもぉだめぇッ
 やぁっやぁんッうぅッあッアァァァァァァァァァァァ…………ッッ!!!!」
数度強く突き上げられると、ぎゅっと澪の身体に足をきつく巻きつけ
とぷりと精を吐き出し、澪の手に、腹部を白く濁った蜜で染め上げる。
「あはぁッ…あんッあぅんッッ…………!!!」
それと同時に身体の中に流し込まれる澪の熱を感じ、強く抱きしめられながらその感覚に酔いしれた。

「み…お…澪…んっ…んぅッ…ん…」
ほんの少しだけ抱きしめる腕の力が緩んだと思うと唇を重ねられ、同時に舌を絡め取られる。
「んッんむ…は…ふん…んッ…」
くちゅり…と音を立てて澪の舌を舐めながら腰を上げて自分の中に入っている
澪のものを引き抜こうとした。
それに気づいた澪が、全て抜かれる前に呂揮の足を抱え上げる。
「はぁぁんッッ!!!」
体制を崩した呂揮がまた澪を奥まで受け入れる形になってしまい呂揮が短い悲鳴を上げた。
「あッ…澪ぉッ…」
「史乃の所に行こうって考えてたろう。琉風はきっといないはずだからそこで眠ればいいって」
「………っ…」
考えていたことを見透かされて澪の胸に顔を擦り付けたままで目を細める。

「言っておくけど今夜は部屋から出すつもりはないよ」

「あッはぁんッ…」
繋がったままで身体をベッドに仰向けに倒され、そのわずかな振動だけでも感じるのか呂揮が小さく喘ぐ。
「家を破壊した彩には感謝しないといけないかな。いつも夜が明ける前に
 腕からすり抜ける呂揮を黙って見送ってきたけど…今日は見逃してあげないし離さない」
「…離さ…ないで…」
覆いかぶさってきた澪に縋りつくと小さく呂揮がそれに答える。
「離さないで…澪…好き…大好き…好き…んっ…す…き…っ…み…お…ッ…」
名前を呼び好きと繰り返す呂揮にそっと口付ける。

「愛してるよ。呂揮」

「――――ッ!!!」
再びベッドの激しく軋む音と、甘い鳴き声が部屋に響いていった。


* * *


カーテンから僅かに差し込む光を見ながら呂揮は目を覚ます。
「ん…」
半分ほど目を閉じた状態でベッドを手探りするがどこまでも
シーツの感触だけで自分以外の人の気配を感じない。
「…」
起き上がり、そこでやっとベッドサイドにある置き手紙に目を止めた。


『おはよう。朱罹達と狩りに行って来ます』


「……………嘘つき。狩りに行かないって言ってたくせに…」
手紙を読み終え、眉間にしわを寄せて不機嫌そうに呟くと布団を抱きしめるように横になった。

こんこん。

「!」
ドアをノックする音に反射的に飛び起きる。
「え、えっと。どうぞ」
部屋主でもないのにそんなことを言うのも妙な話だと違和感を感じつつも
声をかけると、ドアを開けて顔を出したのは琉風だった。
「おはよう呂揮。やっぱりここにいたんだ」
「やっぱり?」
「理が呂揮はここにいるって言うから。澪マスの所で寝てたんだね」
「…うん」
さり気なく布団で肌を隠しながらこちらに近づいてくる琉風に返事をする。
「ごめん呂揮、俺が理と呂揮の部屋に行っちゃったせいで戻ってこれなくなっちゃったんだよな」
「気にしなくていいよ、ああなる事は大体分かってたし。それよりも昨日のことちゃんとリィさんに謝ったのか?」
「うん」
顔を少しだけ赤くして琉風が答える。
「で、ちゃんと許してくれた?」
「うん…許してもらった……」
さらに顔を真っ赤にして答える。
「そっか、ならいいけど」
これ以上突っ込んだ質問をしようものなら琉風の顔が沸騰しかねないほど
赤面している様子にどんな風に許してもらったのかという言葉を取りあえず呂揮は飲み込んだ。
「あれ、呂揮胸のとこ」
琉風が右胸に澪がつけたキスマークを指差す。
「昨日よりひどくなってない?」
「え…あ…!」
昨晩の事を思い出して今度は呂揮が顔を真っ赤にしているのをよそに琉風はやはり心配そうな様子で見ている。
「ヒールしようか?それとも回復力高いらこさんの方がいいかな…ちょっと呼んでくる」
「あー待て待て待って!!!」
ベッドを離れようとする琉風の腕を掴んでそれを止める。
「ヒールも必要ないしらこさんも呼ばなくていい。別にどこか悪いとかじゃないから心配するなって」
「でも…」
「…本当に大丈夫だって。リィさんに聞いてみろよ」
「理に?」
「リィさんだったらきっと『丁寧』に教えてくれるはずだから」
「じゃああとで理に聞いてみる。あ、そう言えば彩マスがそろそろホームに戻るって言ってたよ」
「20分くらいでそっち行くって伝えておいて」
「分かった。俺先に皆のところ戻ってるね」

ばたんと閉まったドアに向って呂揮はぺろっと舌を出す。
昨日からの口ぶりから察するに琉風は胸の紅い印がキスマークだということを理解していないのだろう。
呂揮の言葉を馬鹿正直に守って恐らく理に真意を聞きに行く事は間違いなく、
それを聞いた理が琉風に対してどんな行動を取るかは想像にも難しくない。
八つ当たりといってしまえばそれまでだが、琉風の名前を出したが故に
昨晩恥ずかしい思いを澪にさせられた呂揮のささやかな報復だった。
ただこれがキスマークだということが分かれば同時に琉風がどんなに
疎くてもさすがに澪との関係も気づかれてしまうだろう。

「まぁ隠すつもりもなかったし、いずれ分かることだから…」



『おはよう、よく眠れた?』



届いたwisに呂揮がベッドに散った自分の服を拾い上げる手の動きをぴたりと止める。

『…………澪マスの分までゆっくりと。それより大丈夫なんですか?狩りの最中にwisなんてして』

呂揮はすぐに澪へとwisを返していた。

『あれ、もしかして怒ってる?』
『もしかしなくてもすごく怒ってます。どうして昨日狩りに行かないなんて嘘ついたんですか?』
『それを知ったら呂揮はあのまま部屋を出て行くと思ったから』
『当たり前です。俺が意識飛ばす直前に窓の外が明るくなってきてましたから
 澪マス寝ないまま狩りにいったんでしょう?貴方が行く狩場は
 危険な所多いのに、そんな寝不足で狩りに支障でもきたしたら…』

『うん、寝てないよ。朱罹もほとんで寝てないって言ってたから大丈夫大丈夫』
『何がどんな風に大丈夫なんですかっっ!!!』

『呂揮を朝まで抱いて寝不足だっていうなら対価としては安いものだよ。それに』
『…それに?』
『目が覚めたら側にいない寂しさを呂揮にも分かって欲しかったから』
『………』
『俺の気持ち少しは分かった?』
『澪マスは、今の俺の気持ちと同じだったんですか?』
『そうだよ』
『目が覚めた時貴方が居ないと分かったときすごく寂しかった…でも、嬉しくもなりました』
『嬉しい?』
『俺がいなくなって、貴方がこういう切ない気持ちになってたんだって知ることができたから』
『呂揮はね。自分が思ってる以上に想われてるってもう少し自覚するべきだと思うよ』
『……………狩り中なのにいつまでwisしてたら駄目ですよ。もう切りますからね』
『分かった。またいつも通り西側の窓を開けて待ってるよ』
『…はい』
『それから呂揮』
『何ですか?そろそろ本当にちゃんと狩りに集中しないと…』



『愛してるよ』

『………………………………………………………………俺も、です』



かなり長い間の沈黙のあとぼそっと呟くとそのまま一方的にwisを切った。


「うぅ〜…」
自分の言った言葉に今更ながらに気恥ずかしくなり布団で顔を覆う。

「大好きならいくらでも言えるのに……」

しばらく布団に顔をうずめていたが、顔の火照りがある程度収まると起き上がり、
ベッドに散った服をからエンブレムを取りギルドチャットに切り替えた。

『おはようございます。リィさん、今話しても大丈夫ですか?』
『あぁ・話す『だけ』なら問題ねぇぞ』
『都合のいい時で構わないですからPV付き合ってもらえないでしょうか。次の攻城戦まで
 にモノにしておきたい立ち回りがあるんです』
『構わねえけど急にどうした?』

『成長、したいんです』





大好きな人に背中を預けてもらえるように。



そしていつか、愛してる人に愛してると言えるように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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